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2005.01.15

一人称表記について

 他国語は全然分からないので偉そうなことを言えたものではないが、日本語というのは一人称表現のバリエーションが豊富な言語である。思いつくままに列挙してみると、私、僕、俺、儂、おいら、吾輩、拙者、それがし、拙僧、えーとそれから…。とにかくたくさんある。方言も含めると、とんでもない数になりそうだ。英語に訳してしまえばどれも「I」でひとくくりになってしまうのだが、それでは表現者が日本語ではどの一人称を使って文章を書いたかが曖昧になってしまう。

 さらに、先に挙げた一人称のうち、漢字で表記したものの多くは仮名で表記されることもある。これでまた読者に与える印象が変わってくるから面白い。

「俺」を例として簡単な自己紹介文を書いてみると、こんな感じになる。

「俺はぶるないだ」…なんとなくハードボイルドチック。書いた人が酒や煙草をやっていても違和感がない感じか。大人の男をイメージさせる表現であろう。

「おれはぶるないだ」…こうなると受ける印象はやや柔らかくなる。文章の末尾をですます調に変えても不自然な印象を与えない。ただ、例文のような場合には自分を指す言葉が他の文字の中に埋没してしまう。

「オレはぶるないだ」…ちょっと粗野な感じ。漢字仮名混じりの文章の中にこんな表記が出てくると、自分を指す言葉が「おれ」に比べて際立つのが分かる。個人的な感想だが、やや露悪的な印象も受ける。

 男性専用(まあ女性でも使う人は使うか)の一人称である「俺」ひとつ取ってもこれだけ印象が異なる。もし男女兼用の「私」など例に取り上げようものなら、表記によるバリエーションはさらに幅が出る。女性が自分のことを「わたし」と呼ぶか「あたし」と呼ぶかで、読み手や聞き手が受ける印象は確実に変わってくる。

 以前、短い期間だがWeb日記(当時『ブログ』という言葉はなかった)を書いていたときには、自らに「Web日記上では一人称を使わない」という縛りを設けていたのだが、これが予想外にしんどかった。試してみれば判ることだが、どうやって自分の言動と第三者の言動を区別させるかに気を遣ってしまい、ちっとも気楽に書けないのである。

 そこで今回は早々に、かつて自らを苦しめた縛りに対してギブアップ宣言をしてしまおうと思う。考察ぶったことを書いてきたのは、はっきり言って「もののついで」である。

 今後は自分自身を指すときは「おれ」という一人称表記を使っていくつもりである。やはり日頃使っているフレーズを使って書くのが変に気負わなくて済みそうだから。

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