« 「はい、マイケル」 | トップページ | 3年ぶりの携帯買い換え »

2005.01.18

精神病院と黄色い救急車

 今日は3週間ぶりの通院日。例によって午後イチで出かけたところ、すぐに名前が呼ばれ、問診も3分程度であっさり終わった。M先生もあまり突っ込んで質問してこないところからすると、いい方へ向かっているのだろうか。

 もう何年も精神科の病院にかかっているが、いまだに自分が通っているこの手の病院を「精神病院」と呼ぶことにためらいを覚える。おそらくは昔からの精神病院とそこに通う患者に対する偏見が、おれの頭のどこかに巣くっているからに違いない。「精神病院は頭のいかれた奴の行く病院」だと思っている人は少なくないだろう。実際、今日は帰りがけに病院の駐車場に止めてある車の運転席で奇声を発している男の人を見かけたから、まるっきり的はずれな指摘というわけではないのだが。

 昔のテレビや映画を見ていると、「バカ」とか「マヌケ」とかいう言葉とほぼ同じような次元で「きちがい」という言葉が使われている。それもけっこう頻繁に。それが今となっては放送禁止用語の代表選手である。「封印作品の謎」(安藤健二・著)によると、この言葉が禁句になったのは1974年の大阪精神障害者家族連合会という団体の、ある種執拗なまでの抗議が発端になっているらしい。

 おれが小学生の頃、ちょっと奇天烈な言動をした奴には「青い救急車が迎えに来るぞ」という言葉が浴びせられたものである。「何それ?」と友だちに尋ねると「それは関東精神病院(註:そんな病院は実在しない)の救急車だ」という。全国的(おれは生まれも育ちも現住所も茨城県である)には「黄色い救急車」である場合が一般的らしいが、それが多数例であることを知ったのは、インターネットでサイトを見て回るようになってからのことである。現役の精神科医である風野春樹さんの「黄色い救急車研究所」に詳しいが、それらはいわゆる都市伝説のひとつに過ぎないそうだ。おそらくは精神病院の敷居を必要以上に高いものにしているのは、先にも挙げたように「精神病院は頭のいかれた奴の行く病院」であるという偏見であろう。

 最近手に取った「うつと自殺」(筒井末春・著)には、こんなことが書かれていた。

(前略)日本でも、うつ病の患者数が増加していて、厚生労働省の調査によると、成人の一五人に一人はうつ病を経験していることがわかっている。しかも医療機関で受診した人は、そのうちの四分の一にすぎないというのが現状である。(P.24より)

 受診しなかった75%のうつ病経験者が病院行きをためらった理由のひとつとして、例の偏見や「黄色い救急車」の都市伝説があったであろうことは想像に難くない。受診しなかった人の中には、自らの命を絶った人もいるかもしれない。しかし、専門医に言わせれば「うつ病は治る病気である」という。一人で苦しい思いをするよりも、思い切って精神病院を訪ねて、専門医に診てもらった方がいい。

 それでも受診をためらう人には「精神科に行こう! 心のカゼは軽~く治そう」(大原広軌・著)を読んでみることをお勧めする。多くのうつ病関連書(今Amazonの和書部門で『うつ病』をキーワードにして検索をかけたら227件もヒットした)の多くを精神科医・心療内科医が書いている中で、この本は徹頭徹尾患者の視点で書かれている。これを読むと、精神病院の敷居も少しは低くなり、気軽に受診できるようになるのではないだろうか。かくいうおれも、たまに読んでは笑わせてもらっている。

|

« 「はい、マイケル」 | トップページ | 3年ぶりの携帯買い換え »

心と体」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/75931/2621574

この記事へのトラックバック一覧です: 精神病院と黄色い救急車:

« 「はい、マイケル」 | トップページ | 3年ぶりの携帯買い換え »