ファンを大事にしないバンドって…
初めてT-SQUAREの曲に触れたのは1984年(当時のバンド名はTHE SQUARE)発表のアルバム「ADVENTURES」に収録されていた『ALL ABOUT YOU』であったと記憶している。この曲がウィスキーのCMに使われていて、そのメロディーが強烈な印象を残したのである。そのCM見たさに、日曜の夕方にはサントリーがスポンサーをしている「笑点」を毎週見ていたこともあった。
アルバムを通して聴いたのはそれから数年後のことである。その頃「歌詞のない音楽のかっこよさ」というのに目覚めたおれは、幼なじみの友人に「SQUAREの中でお薦めのアルバムを1枚貸してくれ」と頼み込んだ。友人が選んだのは1983年に発表された「うち水にRainbow」であった。これを機に、おれはますますこのバンドにのめり込んでいった。
そして生で彼らの演奏を聴いたのは、それからさらに数年後の1991年。バンド名は現在のT-SQUAREに変わり、フロントプレイヤーも伊東たけしから本田雅人に交代したが、その年発表されたアルバム「NEW-S」がお気に入りだったこともあって、臆することなく日比谷野外音楽堂へと出向いた。そしてフラフラになるまでノリまくった。
それから数年は年に1回は生演奏を聴きに東京まで出向いていたのだが、いろいろあってなかなか出かけられない年が増えていった。現時点で最後に生演奏を聴いたのは2001年の日比谷野外音楽堂でのライブである。この頃のT-SQUAREは、それまでのバンド形態を解消し、ギターの安藤まさひろとサックスの伊東たけしを核にしたユニットとしての活動を展開していた。それでも10年前に初めて生演奏を聴いた思い出の場所で、やはりフラフラになるまでノリまくったのであった。
その翌年あたりから、個人的なT-SQUARE熱は冷め始めた(これについては今なお引きずっているうつの影響も少なからずあるのかもしれない)。アルバムを聴いても曲とタイトルが結びつかなかったり、1曲1曲の印象が薄いように感じるようになってきたのである。2003年にデビュー25周年を記念してTHE SQUARE名義で発表した「SPIRITS」も、なんか今ひとつパッとしなかった。それまではヘビーローテーションで聴いていたはずのアルバムを聴く回数も減っていった。
そこに去年のある事件が暗い影を落とした。毎年恒例の日比谷野外音楽堂でのライブが台風の影響で中止になったのだが、中止の決定があまりにも遅かった。前日に中止の決定をしていれば、当日会場まで来て無駄足を踏むファンも出ないで済んだであろうに、ライブ中止の発表は開場の数時間前というお粗末さである。当然のことながら、2ちゃんねるにあるT-SQUAREのスレッドは主催者側の不手際に抗議する書き込みであふれかえった。チケットの払い戻しにも手際の悪さが目立ち、ファンの不満はさらに募った。
そのT-SQUAREは今年発表のアルバム「PASSION FLOWER」から再びバンド形態で活動するという。そうすると、ここ数年のユニット形態での活動はなんだったのだろう? また、オフィシャルサイトではそれまであったBBSを閉鎖した。以前からこのBBSへの書き込みにはスタッフのチェック(事実上の「検閲」)があって、ファンの生の声が反映されているとは言えないものだったのだが。
かくもファンをないがしろにするバンドってなんなんだろうか(バンドというよりプロデュースする側の問題なのだろうが)。今年T-SQUAREはおれの地元である茨城で7年ぶりにライブを行うが、足を運ぶ気になれないでいるのが正直なところである。
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