« 怪獣一人語り・モスラの巻 | トップページ | 怪獣一人語り・キングギドラの巻 »

2005.07.07

へそくりの平均額は230万円?

 初めてネット上でこのニュース(ITmedia Survey)を見たときは「は?」と思いつつ見出しを一瞥しただけだったのだが、今朝方の地元のラジオ番組で話題にしていたのでよく聞いてみたら、ニュースとしての話題性だけを優先したようなネタだったので、この場で改めてウソ臭さを検証してみたい。

 へそくりを持っている主婦は44%、平均額は約230万円

 この見出しだけでは「うちのカミさんも、どこにこんな大金を隠してるか分からんぞ」と疑心暗鬼に駆られるダンナさんもいるはずである。ところが記事の先を読んでいくと――

 損保ジャパンDIY生命は、「2005年夏のボーナスと家計・資産形成の実態調査」を行い、その結果を発表した。調査は20~50代のサラリーマン世帯の主婦500名(各年代ごと125名、平均年齢39.2歳)を対象に実施。

 調査対象はたったの500人? 統計学の専門家が聞いたら、おそらく「このサンプル数では信用できない」と言い切られるであろう。

 最近見てないが、なにかにつけて統計を取る必要が生じる「トリビアの種」では、必ず調査の前に統計の専門家に信用たりうる数字を尋ね(たいていの場合は2000件)、それ以上の件数のサンプルを取ってくる。以前「主婦のへそくりの隠し場所で一番多い場所はどこか」というネタを扱ったときには、日本の47都道府県それぞれ60件の家庭、合計2820件を調査している。隠し場所についての結果はこちらをご覧いただくとして、注目すべきはこの調査の時に算出されたへそくりの平均額が約17万円だったということだ。桁が1個違うんですけど

 先の記事に話を戻すと、「へそくりの平均額は約230万円」という数字にもからくりがあった。

 また、夫に内緒の資産(へそくり)を持っている主婦は、約44%。全体ベースで平均約100.4万円、持っている人の平均は230.2万円で、年代が上がるにつれ額は高くなる傾向に。700万円以上というツワモノも2.8%に上る。

 調査結果をパーセントで示しているせいで実際の数字が分かりにくくなっているが、記事の下の方にあるグラフから実数を算出すると、調査した主婦のうちへそくりをしているのは218人である。記事の見出しにあった「約230万円のへそくり」をしているのは、この218人での平均だ。「700万円以上というツワモノ」とやらも実数に直すと1.4人に過ぎない。そもそも500人中過半数の282人がへそくりをしていないのだから、「少人数だが高額のへそくりをしている人間が平均値をつり上げている」というのが、この統計もどきの正体と見るべきである。

 以前にもこのブログで取り上げたが、ベンジャミン・ディズレイリの有名な箴言を最後に紹介しておく。

 「嘘には3つの種類がある。嘘、真っ赤な嘘、そして統計だ

|

« 怪獣一人語り・モスラの巻 | トップページ | 怪獣一人語り・キングギドラの巻 »

ニュース」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/75931/4864833

この記事へのトラックバック一覧です: へそくりの平均額は230万円?:

« 怪獣一人語り・モスラの巻 | トップページ | 怪獣一人語り・キングギドラの巻 »