« 大丈夫か、楽天? | トップページ | 約217000件 »

2005.09.27

声を「荒らげる」

 まず、このトピックをお読みの方に問題。タイトルの「荒らげる」は何と読むでしょう? 正解は後ほど。

 大相撲中継が終わり、平日の夕方にまた「気になることば」が見られるようになった。これで11月の大相撲九州場所が始まるまでは、自然災害や台風情報でも入らない限りは梅津正樹アナウンサーの解説による「日本語の現代事情」の講釈が聞けるわけで、これが無聊をかこつ身の知的好奇心を刺激してくれる。

 その「気になることば」で今日取り上げたのが、タイトルに挙げた「荒らげる」であった。NHKが平成3年(1991年)に調査したところによると、この言葉を「あらげる」と読んだ人の割合は77%だったという。この答えは間違いで、正解は「あららげる」だ。おれが日頃使っている旺文社の国語辞典にも、ATOK2005とセットで購入した明鏡国語辞典にも「あらげる」という読みはない(ATOK2005は「あらげる」を「荒げる」と変換したが)。

 しかし、誤った用法が定着してしまった例は少なからず存在する。「独壇場(どくだんじょう)」は元々「独擅場(どくせんじょう)」の誤記が一般化してしまった端的な例だし、地名の「秋葉原」の本来の読みは「あきばはら」だったし、「新しい」の読みは元をたどれば「あらたしい」だった。……そういった日本語の変遷を踏まえると、いずれは多くの辞書に「あらげる」が「荒らげる」の一般的な読みとして記載される日が来るのかも知れない(それでも注釈が付くであろうが)。

 なんてことを考えつつブログのチェックをしていたら、ぱやんさんのトピックに行き当たった。ぱやんさんは「こじゃれた」という言葉の辞書的解釈と一般的解釈の相違から、こんな意見を述べている。

言葉が意思疎通の手段である以上、語り手と受け手が共通の認識を持てば、それは「正しい」のではないか?

 なるほどなあ、と、いたく感じ入った。まあエンターテインメント的には辞書的解釈と一般的解釈の差違が大きいほど「おいしい」のであろうが。

 ぱやんさんが見ていた番組(おれはチャンネル権争奪戦で親父に敗れたために少ししか見られなかった)で言葉についての解説を担当していたのは杏林大学の金田一秀穂教授であったが、「こじゃれた」に関してこんな解説をしていたようだ(ぱやんさんのブログより引用)。

「小戯れる(こざれる)」の音便化であり、「小」というのは決していい意味に使わないのだそうだ。

 なるほど、「小うるさい」とか「小賢しい」とか、確かにいい意味には使わないよなあ…と、納得しかけて、頭の中で待ったをかけた。「小綺麗」という言葉が辞書に載ってるけど、これはいい意味で使われる言葉ではないのか? そこんところどうなんだ、言語学者家系の三代目! ……思わず声を荒らげたくなった。

|

« 大丈夫か、楽天? | トップページ | 約217000件 »

文化・芸術」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。TBをありがとうございました。
そうそう、「こぎれい」だの「こざっぱり」だのは悪い意味ではないんですよね。それに何冊か辞書を引いてみましたが「小」には悪いばかりでもない「ちょっと」という意味もちゃんと載っているんです(勿論、悪い意味も載ってます)。
あと、私が日常生活で気になっているのは「確信犯」と「役不足」です。特に後者。上司と部下の会話中など、両者が「正しかろうと間違っていようと」(爆)共通認識を持っていれば会話はスムーズに運びますが、片方だけが正しい意味で使っていると、非常にヤバい雰囲気になります(^^;

投稿: ぱやん | 2005.09.28 12:25

「小綺麗」と前後して脳内辞書から出てきた言葉は、やはり「こざっぱり」でした。どちらも似たような意味ですが。金田一教授は自分のお父上やおじいさまが編集に携わった辞書を引いたことがないんでしょうか? ちょっと気になります。
辞書は手元に常備しておいて、自分が「この言葉の使い方ってこれでよかったっけ?」と思ったときには引くように心がけてます。いくら個人のブログとはいえ、不特定多数の人の目に触れる可能性のある文章を書く以上はいい加減な言葉は使いたくないですから。
「確信犯」は「悪いことと承知の上で悪事をはたらくこと」と間違って使っている人の方が多いのではないかと思います(このコメントを読んで「え、違うの?」と思った人は辞書を引こう!)。
「役不足」については実生活の場で使われる機会があるだけに、間違った意味で使っているといらぬ恥をかく羽目になりますね。
こうして考えると、日本語って面白いけど難しいなあ、と再認識させられます。

投稿: ぶるない | 2005.09.28 14:23

「万引きは確信犯」「飲酒運転は確信犯」よく目にしてしまいますね(^^;
「違うだろ~」と思うのですが、この文面を見て「悪いとわかっていてやっちゃう罪」以外にどう解釈できるのか疑問です。
これも、きっと後世では正誤が逆転してしまうのでしょうね。

投稿: ぱやん | 2005.09.28 14:55

同様の例として「情けは人のためならず」という言葉がありますね。これは辛うじて踏みとどまっているような感もありますが。
こういう事例があると「日本語の乱れ」を嘆くマスコミですけど、意外とそのマスコミ(の一部)が日本語の乱れを助長してたりするから困ったもんです。

投稿: ぶるない | 2005.09.28 21:02

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/75931/6148706

この記事へのトラックバック一覧です: 声を「荒らげる」:

« 大丈夫か、楽天? | トップページ | 約217000件 »