頭がくらくら・手術編
各方面に多大なる心配をおかけしつつ、ようやく入院生活から帰ってきた。とどろく叫びを耳にしたわけでもないし、凶悪怪獣たおすためでも正義と平和を守るためでもないが、とにかく帰ってきた(元ネタが分からない人、いたらごめんね)。ともあれ、今回の一大イベント(?)を記録を残すべく、病室にノートを持ち込んで可能な限り経過をメモした。「ピンチは誰かにアピール出来るいいチャンス」ときただにひろしも歌っていたことだし、こういうことは積極的にネタにしないと。
今回の手術に至る経緯も記事にはしてあるので、経過をご存知ない方、あるいはおさらいをしておきたい方(なんのだ?)は、以下の順にお読み頂きたい。
- 頭がくらくら(4月17日)
- 頭がくらくら・その後(4月21日)
- 頭がくらくら・診断編(4月27日)
- 頭がくらくら・入院前夜編(5月4日)
5月5日(入院1日目、手術前日)
「午前10時ごろに受付してください」と言われていたので、かっきり10分前に受付へ。すると話が通っているらしく、2階のナースセンターへ向かうよう指示される。通されたのは、検査入院のときと同じ部屋で、ベッドの位置まで同じだった。
事前の説明では手術は午前10時からとのこと。食事は夕食までで、水分は消灯時刻(21時)以降摂取禁止とのお達し。
また、「手術を受けられる方へ」と題された冊子が置いてあり、「明日以降はこれこれこういう手順で事態が進みます」との説明が書かれていた。いわゆるインフォームド・コンセントというやつである。中には「緊張をやわらげる」ために肩に筋肉注射をするとも書いてある。往々にしてこういう一文が余計に人を緊張させるものである。
正午、端午の節句ということで昼食に柏餅が出る。こういうしゃれっ気はけっこう好きだ。
「前日には風呂に入っておくように」との指示に従って、準備されたところで入浴。この風呂が予想外にぬるく、浸かっているだけで湯冷めしそうであった。実際にはぬるいくらいの湯加減が湯冷めしにくいのだが。
15時45分、担当のI先生が病室にやってくる。検査入院のあとに症状が軽減したことは伝えたが、先生曰く「目詰まりした中脳水道の通りが自然に良くなることはまずない」とこと。また、手術の時間が変更になり、午後2時からになったと聞かされてうんざりする。何時間空きっ腹に耐えなきゃならないんだよ……。
5月6日(入院2日目、手術当日)
空腹感と室内が騒がしいせいで未明に目が覚める。時計を見ると午前3時過ぎ。窓側が明るいので、もう夜が明けたのかと勘違いしたが、実際にはそちら側のベッドでトラブルがあったらしく看護師の人たちの声が聞こえる。その後まんじりともしないうちに本当に夜が明けた。
顔を洗って髭を剃る(これも指示にあった)。やたらと喉が渇いている。「水がダメならエスタゲンドリンクをくれ」と言いたくもなったが、こんな濃いネタ(知らない人は「クラッシャージョウ 最終兵器アッシュ」をご覧ください)が通用するとも思えなかったので口にはしなかった。
手術とは無関係の人たちの朝食が済んだころ、手術用の点滴が打たれる。意外に手首に近いところだったのでちょっと驚く。その後手術室の担当者がやってきて、コンディションを訊く。今日はおれの前に3件の手術が入っているとも話してくれた。
あれだけ飢えと渇きに苦しんでいたのに、昼食時のころにはなんとも感じなくなってきていた。ここいらで、なぜか「SF交響ファンタジー」やら伊福部昭のゴジラやらすぎやまこういちのゴジラやら服部隆之のゴジラやら大島ミチルのゴジラやら聞いてみる。これで妙にリラックスするおれは、きっとどこかおかしい。
13時30分、手術用の格好に着替え…と言っても実態はストレッチャーの上でオムツだけの格好になったのであるが。ここで昨日おれを過剰に緊張させた肩への筋肉注射。腕がいいのか技術の進歩なのか、拍子抜けするくらい痛くなかった。思わず「あのう、筋肉注射って、これで終わりですか?」とマヌケな質問をしてしまったくらいだ。
予定時刻が近づいたころ、前の手術が長引いているとの連絡。おれの手術開始は30分程度遅れるらしい。むきだしの背中にストレッチャーのシートが張り付いて居心地が悪い。
14時25分頃になって、ようやく手術室へ搬送。場数を踏んで慣れているのか、手術スタッフの表情から緊張は読み取れない。手術台によっこらせと移され、ここで鼻から口のあたりを覆う少々小さめのマスクがあてがわれる(このマスク越しに全身麻酔のガスが送られる)。「ゴム臭いな」とか思っているうちに意識途絶。
名前を呼ばれているのに気付いて目を覚ますと、2時間ほどが経過していた。呼吸を確保するために管を突っ込まれていた喉が痛い。そのままなすすべもなく(意識が回復しても体が思うように動かない)CTと頭部のX線撮影を経て、集中治療室(ICU)へ移送。
――このあたりから時間の感覚が怪しくなる――
ICUで手術終了を待っていた家族と面会。弟に丸坊主になった頭で驚かれる。実際に手術に要した時間は1時間程度で滞りなく終わったそうだ。
ICUではひっきりなしに血圧を測られ(当初は15分おき、3時間くらい後からは1時間おき)、照明もやたら眩しいのでゆっくり眠ることができなかった。この悪条件に加えて、急患のベッドが隣に運ばれてきてからは余計にうるさくなった。この患者は意識がほとんどないのだが、「どうしてこのおっさんは自分のいびきで目を覚まさないのだ?」と勘繰りたくなるほど物凄いいびきをかいており、さらに面会人が次々とやってくるからたまらない。ICU担当の看護師から氷枕を出してもらい(手術直後ということで熱が出ていた)、枕元にあったタオルを目隠し代わりにして、むりやり眠った。室内に時計がないので、何時なのか、もう日付は変わっているのか、などといったことは一切分からぬまま……。
かなり長くなってきてしまったので、以降に関しては「術後編」に続く。
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コメント
退院おめでとうございます。(^^) 改造手術大変でしたね・・・失礼しました(笑)。気分の方いかがですか? 日記読んでると自分が手術受けてる気分になって何か痛いよ。(^^; ぶるないさんが帰って来たので、今週末にでもぶるないさん退院おめの特ソンクイズやりますか。(^^)
最後の急患の方は脳疾患でかなり重篤な状況っぽいですね。ウチの父ちゃんはICU入った時はロレツが回らなくてその直後容態が急変して1年数ヵ月後になくなるまで声を発することがありませんでしたけど・・・。
手術で身体の負担もあったと思いますので徐々に身体を慣らして手術以前よりも元気になってくれたらと思います。(^^)
投稿: 狩人 | 2006.05.16 22:17
いやもう、冗談ではなく感覚的には「改造された」という気分があります。どこからともなく中江真司氏のナレーションが流れてきそう…にはさすがになりませんでしたが。週末のクイズネタを特撮ものにするかどうかはお任せします。予感めいたものがあったりもするんですが。
「術後編」の方には、読み手が痛くなりそうなところは出てこないはず(当たり前だ)なので、ご安心を。
手術を受けた病院は救患も扱っており、けっこう知名度もあるので、日に何度が救急車がやってきていました。水頭症で入院する患者もいれば、脳梗塞で手足や言葉が自由にならなくなって病院にやってくる患者もいます。当然のことながらICUに来た急患のおっちゃんがどうなったのか、こちらが知る手段も権利もありませんが、無事に回復して家族の方たちと笑顔で病院を後にしてくれていたら、と思わずにはいられません。
投稿: ぶるない | 2006.05.16 23:03