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2006.05.18

冥福ってなんだっけ

 2006年に入って、やたらアニメや特撮に関わった人たちの訃報が続いている。それだけに「ご冥福をお祈りします」というフレーズを目にする機会も多い。

 が。

 故人の死を悼むにあたって、このフレーズは本当に適切なのだろうか? 以前ヨハネ・パウロ2世が逝去したときにも疑問に思ったのだが、g_takiさんからのトラックバックを頂戴してまたまた再考することになった。日本人は宗教的には無頓着であるためか、誰が亡くなっても「ご冥福を~」という言い回しが安直に使われる。「とりあえずこう言っておけば余計な波風は立たないだろう」という、これまた情けないほど日本人的な「事なかれ主義」が露出してはいまいか。

 そもそも「冥福」という言葉が指すものは何か。これはg_takiさんの記事でも引用されているとおり、「冥土での幸福」を意味する。では「冥土」とはいかなるところであるか。手元の辞書を引いてみると「死んだ者の魂が行くところ」(旺文社国語辞典)とある。そして「冥」という字が示すものは「くらいところ」だ。死んだらそういうところに行くと考えられているようだが、仏教の一宗派である浄土真宗は異なる(前出の引用元によると、そもそも仏教自体に『冥福』という概念がないらしいが、手元の辞典では仏教由来の言葉とされている)。浄土真宗では「死んだ者の魂は浄土に行く」とされている。ゆえに仏式の葬儀で行われる「清めの塩」も浄土真宗での葬儀では使われない。以前葬儀を執り行った住職の法話によると「生前親しくしていた人を、亡くなった途端に穢れもの扱いするのはおかしいです」という。

 仏教ひとつを取り上げてもかくも奥が深い。ましてや他の宗教においてをや。クリスチャンが死後に「冥土に行く」なんてありえないのではあるまいか(功徳のあったクリスチャンは天国に召されるに決まっている)。あしあたり故人を悼むにあたっては、「謹んで哀悼の意を表します」あたりがどの宗派でも使えるフレーズであろう。

 なんにせよ、「これはおかしいのではないか」と思うこと、それを自分の頭で考えることは大事なことだと思う。考えることをやめてしまったら、人間はヒト以下の生物になってしまうから。

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