魔女役者よ永遠に
女優であり声優である曽我町子さんが亡くなった。享年68。亡くなったのは7日早朝で、訃報は9日の朝刊(読売新聞の場合)に載っていた。なにぶんにもこのとき入院中だったので、訃報を知ったのは病院から一時帰宅した13日とえらく遅かった。
新聞などでは「オバQの初代声優」という肩書で取り上げているところが多かったが、おれにとって曽我さんは、いつどこに出てきても「アヤしいおばさん」であった。怪しい魔法使いだったり、怪しい占い師だったり、とにかく全方位に向かって怪しいオーラを発散させる役者さんだったのである。そんな役柄なのに、どこか憎みきれないユーモアを醸し出していたのは、やはり曽我さんの持ち味と言うべきか。
特撮ファンには俳優特有の「持ち役」みたいな認識がある。マッドサイエンティストなら天本英世、主人公の味方の科学者なら平田昭彦、ちょっと頭のおかしい脇役なら大村千吉、そして魔女なら曽我町子であった(以上敬称略)。曽我さんの他界で、みなさん過去の人になってしまった。新聞の訃報欄に名前が載らない日などないのだが、ことのほか今年はアニメや特撮に関係した人たちの訃報が多いように思う。
いくつかブログなどを見てみたが、みな一様に驚きを隠せないように感じられるのは「曽我町子は自分に不死の魔法をかけているんじゃないのか?」と半ば本気で信じているからのような気がしてならない。そんなわけで、曽我さん、あの世に飽きたらいつこちらに帰ってきてもいいですよ。きっとみんな「ああ、やっぱり帰ってきた」と受け取るはずですから。
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コメント
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怪しいオバサン・・・確かにそういう方でしたね。
なんていうかG風に言うと怪しいというか
年齢不詳というフレーズがピッタリの方でした。
でも不思議な事にそのフレーズはこの記事にあがってる
天本氏、平田氏、大村氏にも共通してまして
味のある役者とはそういうものなのかも?と改めて感じました。
今日はマシンマン最終回をビデオで見て
ボールボーイもしみじみ見てたGでした。合掌。
投稿: gun_gun_G | 2006.05.20 00:59
年齢不詳…みなさんそんな雰囲気がありましたね。
天本氏はドクター・フーのころから初老のような、平田氏はどの特撮作品でも青年のような、大村氏はどんな職の人でもくたびれた雰囲気を漂わせ、そして曽我氏はいつ見ても「アヤしいおばさん」でした(天空大聖者でさえ!)。
ひるがえって、現代にそんな役者がいるかと問われると返答に詰まってしまいます。寂しい時代になってしまいますね。
投稿: ぶるない | 2006.05.20 02:51