脳外科受診心得
ふと気が付いたら、水頭症の手術からもう1ヶ月が過ぎる。さすがに手術直後ほどひどい有様ではないものの、手術前と変わらない体調ではないこともまた確かである。術前の検査を含めると約半月ほど入院していたわけだが、自分の体験を通して、脳外科を受診するにあたっての心得などを書き残しておこうと思う。役に立つかどうかは保証しないが、参考までに、ということで。
まず「どんな症状が現れたら受診すべきか」。もちろん人によって異なってくるが、症例としては次のようなものが挙げられる(病室で同室になった人の症例)。
- 頭痛と歩行時のふらつき(これはおれの場合)
- 酔ってもいないのに呂律が回らなくなる(ラ行やパ行に顕著らしい)
- 片方の握力が極端に落ちたり、足が上がらなくなったりする
最初に挙げたものは水頭症、あとの二つは脳梗塞の症状である。こんな症状が現れたら、すみやかに脳外科を受診されたい。
では「どこの病院を受診すべきか」。もちろん通院することを考えれば近いに越したことはない。心当たりがない場合は救急車を呼んでもいいし、重篤でないなら最寄りの消防署に問い合わせて救急告示病院を紹介してもらうのもひとつの手(後者の場合は事前に病院に連絡を入れることを忘れずに)。
診る場所が場所なので、「診察後に即入院」というケースが往々にしてあることは心得ておいた方がいいだろう。おれもそうだったが、「いきなり入院と言われて驚いた」という声は何度も聞いた。
行きがけの駄賃というわけではないが、入院に際して「あったらいいもの」も挙げておく。おそらくは入院時に「これは自前で用意してくださいね」というお達しが病院側からあると思うが、その種のリストには載ってこないであろうものをここでは挙げる(小林光恵『気分よく病院へ行こう』を参考にした)。
ウエットティッシュ。普通のティッシュもあった方がいいが、雑巾の代用品になったりするので重宝する。
筆記用具。入院中はトイレに行った回数を毎朝訊かれる。「いちいち憶えてなんかいられるか」という人は、ノートに正の字を書いて数えておけば訊かれたときに即答できる(経験談)。また、経過や思ったことなどを日記代わりにメモしておくのもいい。ただし、いくら便利だからと言ってノートパソコンは持ち込まないこと。うっかり盗難にあったりしたら経済的損失もさることながら、個人情報の漏洩も怖い。病院は盗難に関しては責任を取ってくれない。
読み物。やはり漫画よりは活字の方がいい。ヒマを凶器にして人を殺せるなら、入院患者はヒマのせいだけで何人も死んでいるだろう。おれが入院したところではテレビが有料だったので、際限なくテレビを見続けるわけにもいかなかった。「音楽がないと寂しい」という人はMP3プレイヤーを持ち込む手もある(CDやMDと違ってメディアを交換する手間が省ける)。
薬用リップクリーム。病院内は空調が効いているので、けっこう空気が乾燥している。冬場に唇がかさつく人は用意しておいて損はない。喉も渇きやすいので、制限されていなければ水分が取れるようにしておくことも大事。
耳栓。個室の場合はともかく、他の人と同室になって、その中にいびきのうるさい人がいたりすると寝不足に悩まされることになる。消灯時間も21時ごろと早いので安眠を確保するための保険として。旅行用のアイマスクもあるといいかもしれない。
以上、どこまで役立つかは分からないが脳外科入院経験者からのアドバイス。「気分よく病院へ行こう」は、他の診療科目についても有用な情報が書かれているので読んでおくことをお勧めする。
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コメント
「おたんこナース」の原案の方が書かれたんですか。
わかりやすそうでいいですね。
もう一ヶ月たつんですね。早い・・・。
検査の結果もたいしたことがないといいですが。
ところで、下の記事にあった「退屈で死ねる」はよくわかります。
私も小さい頃、二度ほど入院したことがありますが、本当に退屈でした(子供なので余計に我慢がきかないし)・・・。
投稿: るー | 2006.06.06 23:37
手術直後のICUでは本当にヒマでした。ある程度時間が経過すれば意識もはっきりしますが、なーーーんにもすることがないので、ひたすら「早く一般病棟に戻りたいなあ」とばかり考えていました。
小林光恵さんの本は、入院時にもう1冊「病院はいつもパラダイス」(幻冬舎文庫)を買って持ち込みました。術前の筋肉注射に必要以上の恐怖を植え付けたのはこの本です(笑)。
投稿: ぶるない | 2006.06.07 05:16