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2006.07.06

怪獣一人語り・メカゴジラの巻

 ひさしぶりに怪獣の話をしてみようと思う。

 ゴジラは、その誕生から10年後に好敵手(?)であるキングギドラを対戦相手に迎えた。それからさらに10年の間、ゴジラはそのキングギドラと3度も闘い、時にはただの大きなエビと闘ったり、ただの大きなカマキリと闘ったり、ただの大きなクモと闘ったりしたのだが、誕生20年目にしてキングギドラに匹敵する強敵を対戦相手として迎えることとなった。

 ポスターにあるコピーを引用すると「宇宙をとび、ミサイルを撃ち込む!全身が武器の凄いゴジラが現れた!」。そう、メカゴジラである。

 既存のキャラクターをメカに置き換えたものとしては「キングコングの逆襲」(1967年公開)に登場したメカニコングという前例があるのだが、これは本来資源採掘用のロボットであり、戦闘用ではなかった。しかしメカゴジラは、単にゴジラのキャラクターをメカに置き換えるにとどまらず、全身に武装を施した異星人の侵略兵器としてスクリーンにデビューする。その強烈なキャラクター性は人気を呼び、円谷英二の没後に登場した怪獣としては唯一、複数回にわたってリメイクされることとなった。以前の例に倣って登場作品を以下にリストアップする。

  1. 1974年「ゴジラ対メカゴジラ
  2. 1975年「メカゴジラの逆襲
  3. 1993年「ゴジラVSメカゴジラ
  4. 2002年「ゴジラ×メカゴジラ
  5. 2003年「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS

 表記上はなんら問題ないのだが、1・3・4の3本のタイトルがどれも「ゴジラたいメカゴジラ」と呼称されるのは非常に紛らわしい。まあ3は「ゴジラ・ブイエス・メカゴジラ」と読めば問題ないのだが。

 メカゴジラのデビュー作である「ゴジラ対メカゴジラ」は、全体的にツッコミを入れられるような隙が多すぎて、正直なところ30代半ばにもなって正視するにはつらすぎるものがある。しかし、前出のポスターのコピーに偽りはなく、コンビナートでのゴジラとの初戦はもちろん、クライマックスにおけるゴジラとキングシーサーの2頭を敵に回しての沖縄戦ではその性能を遺憾なく発揮した。特撮ファンからは“爆発の中野”との異名でも呼ばれる中野昭慶特技監督の個性が文字通り爆発し(余談になるが、同年8月公開の「ノストラダムスの大予言」では撮影中に東宝第7ステージを全焼させている。爆発をやりすぎたせいではないのだが)、佐藤勝のやたらハイテンションな音楽も実にマッチしていた。

 翌年公開の「メカゴジラの逆襲」では、そのタイトルとは裏腹にメカゴジラは脇に回り、新怪獣チタノザウルスを軸にストーリーは展開される。事実メカゴジラはチタノザウルスより先にゴジラに倒されてしまうのだから驚きだ。本作は28本あるゴジラシリーズで唯一女性が脚本を書いた作品であり、第1作を手がけた本多猪四郎監督の事実上の遺作でもある。伊福部昭が音楽を手がけたこともあってか、前作からの直接の続編であるにも関わらず雰囲気はかなり異なる。東宝チャンピオンまつり本来の客層である子供たちへのアピールの弱さもたたってか、観客動員数は歴代ワーストの97万人にしかならず、ゴジラシリーズは休止を余儀なくされることとなる。

 1993年の夏、おれは当時渋谷にあった海洋堂のショールームで実にインパクトのある1枚のポスターを見た。いわゆる「平成VSシリーズ」で告知ポスターのイラストを手がけた生頼範義の手による「ゴジラVSメカゴジラ」のポスターであった。ポスターの上半分を占める、アオリ構図のメカゴジラの迫力たるや筆舌に尽くしがたい物がある。それにダメ押しの一点を加えるかのように簡潔でかつインパクトのあるコピー「この戦いで、すべてが終わる。」が右上に添えられていた。このポスターでの第一印象が強烈すぎたせいもあって、実際に映画に登場するメカゴジラを見たときにはかなり落胆したものである。

 このメカゴジラは、海底から引き揚げられたメカキングギドラ(「ゴジラVSキングギドラ」に登場)に使われている23世紀の科学力を解析して作られた究極の戦闘マシーンということになっている。しかし、これを運用するGフォースという組織がエリート集団とは名ばかりのマヌケ連中だったのには辟易した。ミーティングでは「ゴジラ攻撃の安全圏は奴の背後水平方向43度、垂直方向81度の範囲だ」とか御託を並べていたくせに、いざ実戦となるとその御託はどこへやら、バカ正直に正面から撃ち合いをするような連中だったのである。そもそも、ゴジラに対抗するためにゴジラの姿を模したゴジラと同じサイズのロボット兵器を作る必然性が感じられないのが痛い。さらに、このメカゴジラの最大の武器であるプラズマ・グレネイドは、ゴジラが吐いた熱線を増幅して撃ち返すものである。裏を返せば、ゴジラの熱線を正面から食らわないとこの武器は使えない。ミーティングでの隊長の御託はなんだったんだろう。

 時代はさらにくだり、興行的な理由から2001年の映画での登場怪獣をモスラとキングギドラに差し替えた東宝は、2002年のゴジラ映画にまたまたメカゴジラを引っ張り出す。今度は1954年に現れてオキシジェン・デストロイヤーによって溶かされたゴジラの骨を引き揚げ(第1作の「ゴジラ」では骨まで溶けてしまったが)、これを元にした生体ロボット“機龍”として登場する。初めて「メカゴジラがゴジラと似た姿をしている」ことに理由が付けられたのである。従来のメカゴジラと異なり、外付けのバックユニットに武装が集中していることも特徴のひとつに数えていいかもしれない。バックユニットを排除した後には火力が低下してしまうこともあって、今までになく「ゴジラと取っ組み合うメカゴジラ」になっている。それゆえか「ゴジラ×メカゴジラ」も「東京SOS」も、派手なコピーとは裏腹に地味めなストーリー展開になっている。運用していたのも自衛隊だったし。

 ……ぐだぐだと思い返してきたが、やはりメカゴジラはゴジラに向かってボカスカ撃ちまくる初代のイメージが強くある。あれが「メカゴジラ」というブランドの原点にして頂点だった、そんな気がする。

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