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2006.09.02

GOJIRA、アメリカに上陸

 タイトルに使った「GOJIRA」はタイプミスではない。1998年に公開された、ローランド・エメリッヒ監督の巨大イグアナがマンハッタンをどたどた走り回る映画のことでもない。1954年公開の本多猪四郎監督の「ゴジラ」のことである。その「ゴジラ」のオリジナル版がようやくアメリカでDVD発売されるという(Sankei Web)。そのタイトルが「GOJIRA」。

 1954年版「ゴジラ」は、アメリカではレイモンド・バー(「弁護士ペリー・メイスン」等で知られる)の出演シーンを追加した上で編集を施した「怪獣王ゴジラ(英題:Godzilla King of the Monsters)」として公開された(アメリカ版の監督はテリー・モース)。

 ただ、この編集というやつが曲者で、視点がレイモンド・バー演ずる新聞記者のスティーブ・マーティンに置かれているためか「ゴジラは水爆実験のために住み処を追われて地上に出現した」という重要なテーマが語られていない。「ゴジラという巨大怪獣が東京に上陸してあちこちを壊しまくって、マーティンの友人である芹沢博士(そういう設定になっている)が発明したオキシジェン・デストロイヤーで退治される」だけの作品になっているのである。従って、ファンには有名な山根博士の「あのゴジラが最後の1匹だとは思えない」以降の台詞もばっさり切られている。

 アメリカでのオリジナル版DVD発売にあたり、Sankei Webで取材に応じたカンザス大のウィリアム・ツツイ教授は語る。

 ツツイ教授によれば、ゴジラは見る人に、核開発の行き着く先や、科学万能に対する自然の復讐(ふくしゅう)などと映り、そこに独特のこわさがある。同教授はまた、「東京を破壊するゴジラは当時の日本人には第二次大戦の恐怖とも重なったことだろう」と語る。

 このコメントを読んで、「アメリカにも元祖『ゴジラ』のテーマを理解している人がいるじゃないか」と安心した。世界で唯一実戦で核兵器を使ってしまった国の人たちにはしっかり見てもらいたい。特にホワイトハウスでふんぞり返って時折バカな発言をしている人あたりには。

 ローマ字をそのままタイプしたような「GOJIRA」の表記はちょっといただけないが、名前の出自が大戸島の伝説の怪獣「呉爾羅」に由来することを考えると、妥当な処置なのかもしれない。

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