箱根駅伝を走ったお仲間
年末年始のローテンションのせいで書きそびれていたが、幼少期に水頭症の手術を受けた選手が箱根駅伝に出場していた。その選手は日体大の6区を走った石谷慶一郎くん。
彼の場合は先天性の水頭症であったらしい。おれも同様の症状で都内の病院に入院したことがあるのだが、いつの間にか脳室の大きさが正常になったらしく(幼少期の水頭症では、頭蓋骨がくっついていないために頭そのものが大きくなるという)、手術は行われないまま退院した。両親はこのときのことが頭から離れなかったらしく、その後もおれが「頭が痛い」などと口にすると「検査してもらった方がいいんじゃない?」と切り返したものである。そうして長いこと大過なく暮らしてきたのだが、昨年になってついに手術を受ける羽目になった(経緯に関しては「水頭症」のカテゴリーにまとめたのでここでは触れない)。ニュースサイトなどで報じられているところによると、石谷くんが受けた手術もおれと同じ「脳室腹腔シャント術」であったようだ。
たしかに水頭症の症状はこの手術でどうにかなる。しかし体内に異物を埋め込んでいる以上、それがいつトラブルを起こすかは分からない。折悪しく石谷くんの身にそのトラブルが降りかかったのは全国高校駅伝の当日だった。彼の不調のためにチームは棄権を余儀なくされ、石谷くんは「自分のせいで…」と自責の念にさいなまれたという。同様の手術をしている人には誰にも起こりうることなのだが。
そんな無念を、彼は箱根の山くだりでの力走にぶつけたのだった。これが報じられることで、水頭症という病気の世間への認知度も上がるのではないだろうか。それにしても、自分と同じ病気を持った選手が箱根駅伝で走っているというのは妙な仲間意識を持たせてくれる。
来年も出場するときはちゃんと見るからな、石谷くん。お互いがんばろうぜ。
2008年1月3日追記:今年も石谷くんは6区を走ったが、14位からひとつ順位を上げたにとどまり、走っている姿もほとんど撮してもらえなかった。日体大も総合順位は12位でシード権を失った。残念。
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