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2007.06.29

38年目の狂わせ屋

 山口県光市で起きた母子殺害事件の差し戻し控訴審で、被告人の口から発せられた突拍子もない発言が世間を騒がせている。一審・二審で殺意を認めたはずの被告人は、言うに事欠いてこうのたまった。asahi.comより。

 元少年は、夕夏ちゃんが泣きやまないので、「お母さんをあやめた自責の行為」として、ズボンのポケットにあった「剣道の小手のひも」を使って自らの左手を締めたと語り、夕夏ちゃんの首を絞めた認識はなかったとした。亡くなった夕夏ちゃんを押し入れの天袋に入れた理由は「4次元ポケットでドラえもんが何とかしてくれると思った」と話した。

 元少年は一・二審で2人への殺意を認めていた。検察側が反対尋問で、供述が変化している点について聞くと「記憶を精査した」と述べた。

 おいおい、お前は被害者を「殺したい」と思ったことを認めたんだろう? 今になって精神異常を主張する気か? この発言を受けて、冬樹蛉さんがこうコメントしている。

 「ドラえもんが何とかしてくれる」ときたか。いや、こりゃすごいね。まるで「内面の成熟が遅れた」というオチに持ってゆくために、どこかの創造力のない大人どもが無理やりひねり出したかのような陳腐な臭いがする名台詞である。いや、べつに他意はない。おれにはそう聞こえてしかたがないという、個人的な印象だ。

 冬樹さんのこの記事を読んでおれが思い出したのは、星新一のショートショートの一編「わが子のために」(『おのぞみの結末』に所収)であった。いわゆる「地元の名士」である男の元へ弁護士を名乗る人間がやってきて、男の息子が殺人を犯したことを告げる。そして刑務所送りにならないための「作戦」としてこう語る。

「裁判の時、医師の精神鑑定を受けることになるわけです。その時、簡単に見やぶられては、どうしようもありません。化けの皮がはがれないよう、修業というか、精神異常についての知識を身につけるというか、それが必要なのです。これならいいという時をみはからって、自首させようというのが、わたしの作戦なのです」

 この結果がどうなるかはここでは触れない(知りたい人は探して読んでね)が、光市の母子殺害事件で被告人の弁護団連中がしていることは、これと同じなのではないのだろうか。「人権派」を自任する弁護士が「被告人は精神異常である」と言い立てて刑の減軽を狙うのは常套手段と言っていい。事実、光市の事件で被告人に付いている主任弁護人は、1980年に起きた新宿バス放火事件でも弁護を担当し、6人もの人間を殺した犯人(検察の求刑は死刑)を無期懲役にしていた。後年その犯人は獄中で自殺したが。

 以前「そして殺人者は野に放たれる」を取り上げたときにも引き合いに出したが、38年前に放映された『怪奇大作戦』第24話「狂鬼人間」に登場する“脳波変調機”はどうやら実在するらしい。困ったことに、弁護士バッジを付けてセールスに回る「狂わせ屋」まで存在する。まったくイヤなご時世だ。

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コメント

この話を聞いてまっさきに思い出すのは、やはり狂鬼人間ですねぇ。

弁護士バッジを付けた狂わさせ屋とはウマイと思いましたよ。

ドラえもんに魔界転生も、「子供にバイオレンスを助長させる!」とか言われるのだろうか。

はやく、精神異常の判断を裁判に持ち込まない世の中にして欲しいですわ。

投稿: Fear ウルフ | 2007.06.29 21:42

光市の事件で被告人の主任弁護人を務めている安田好弘弁護士は死刑廃止運動の急先鋒と言っていいも人物であり、Wikipediaを見てみると(この人の記事があります)「この事件もこの人が?」と思わされるでしょう。

この事件で被害者遺族についてのコメントで安田弁護士は「法廷は被害者と加害者が対決し、刺しあう場所ではない」と語ったそうですが、「事件の弁護を口実に自分の主義主張をごり押しする場所でもない」と言ってやりたいですね。

冬樹さんと違って、自分の怒りをユーモアに昇華させる筆力がないのがどうにももどかしいです。うーむ。

投稿: ぶるない | 2007.06.30 00:43

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