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2007.07.31

『そこが知りたい「脳の病気」』

 このブログでも何度か触れたが、昨年生まれて初めて体にメスが入った。しかも頭。入院自体が物心ついて初めてのことだったので、脳外科という診療科目の内容に興味を持つことになった。そんなわけで手に取ってみたのが医学博士の天野惠市氏が書いた『そこが知りたい「脳の病気」』である。

 おおよそひとつの症状についてひとつの章が割かれており、中には「それも『脳の病気』の範疇なの?」というものもあるが(頭部外傷や首・背中・腰のけがなど)、テレビへの出演もあるという筆者らしく、かみ砕いた表現で書かれている。ただ、読点を多用しがちなのはかえって読みづらくしているような気もする。それから、病名やら部位の英文表記を逐一付記する必要はあったのか? んなもんよりも図版のひとつも入れてほしかった。専門家でもない人が「第3-第4腰椎間」なんて言われたときに具体的な場所をピンポイントで理解できるとは思えないぞ。

 入手して真っ先に開いてみたのはやはり「水頭症のはなし」である。自分と関係の深い話題に最初に食いついてしまうのは、これ人情だと思う。天野氏の記述によると、おれが施術された脳室腹腔シャント術という手術はこういうものである。

頭の中で吸収しきれなくなった髄液を、細くてやわらかいチューブを皮下に通して、おなかの中に導き、腹腔内で腹膜から吸収させる。腹膜が持つ大きな吸収能力を活用する手術である。頭の中から、いっきに髄液がおなかの中に移行すると、まずいことが起こるので、髄液の流れを、圧にしたがって自動調節する小さなバルブが途中についている。

 手術した箇所が箇所だったし、上記のような手術をしたので本人はほとんど改造手術でも受けたかのような気分にもなったのだが、これに続く「脳外科では頻繁に行われる小手術のひとつである」という一文はちょっとした衝撃だった。「あれだけのことをしても小手術なのか?」と。落ち着いて考えれば、手術に要した時間は実質小一時間だし、検査と術後を合わせても入院期間は半月程度であった。広範囲にわたって頭蓋骨を切開したり、長い期間のリハビリが必要な症状で入院してくる人もいるのだから、脳外科の医者の視点からすれば「小手術」なんだろうなあ。

 ともあれ、脳外科の意外な守備範囲の広さにも気付かされる一冊である。

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