HEAVEN KNOWS
弟が逝った。本来の順番ならば家族では一番最後に墓に入るはずの弟が、真っ先に逝ってしまった。一足先にmixiの方では報告したのだが、こちらでも簡単に報告しておく。
8日の朝食を家族と一緒に取ったのを最後に、自分の車で外出した弟はその夜帰ってこなかった。以前にも同じようなことがあったことを踏まえて、その日のうちに警察への捜索願は出したものの、どうやらその晩に弟は我が身を処することにしたらしい。愛車の運転席が永遠の眠りへの寝床となった。
発見の報が入ったのは昨日16日のことである。車はひとけのない山林の中に停まっており、マフラーから運転席へホースが導かれていた。検視に当たった医師の所見によれば、死因は一酸化炭素中毒とのことである。時節柄遺体が綺麗なままだったのは不幸中の幸いだったかもしれない。
生前こころを病んでいた弟は、思っていることを家族に漏らすことをしなかった。週に一度通っていた精神科の主治医だけが愚痴や本音を吐き出せる相手だったらしい。それを思うと、おれ自身の日頃の言動も今回の事態の遠因になっているように思えてならない。今更言ってみたところで死んだ人間が生き返るわけでもないが、こればかりは悔やんでも悔やみきれない。
故人にとっては不本意だったかもしれないが、弟は今日無言の帰宅をした。葬儀は身内だけで済ますことになっている。バカ話をする相手を永遠に失った空虚な気持ちは、これからおれを苦しめ続けることになるだろう。
うちで息を引き取った猫たちにあの世で会ったらよろしく伝えてくれや、この大馬鹿野郎め。「こっちじゃオレたちの方が先輩だぞ」と言われても知らんからな。


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