「SAVE THE FUTURE」ってうさんくさい
その昔(と言ってもそれほど古くはないが)「人の命は地球の未来だ!」と言い切ったヒーローがいるが、そんな台詞を「そーかー?」と冷ややかな目で見ていたものである。
地球ができて約46億年(推定)、いわゆる世界四大文明が発生したのは現在からたかだか7千年程度前でしかない。ホモ・サピエンスがこの惑星の支配者面をしているのは、地球そのものの歴史から見ればまばたき1回分よりもはるかに短い時間だ。単純に地上を支配していた期間だけで比較するなら、恐竜の方がよっぽど長い。その恐竜はとっくの昔に絶滅した。人類が破滅への道をたどらないなどとどうして断言できようか。
…などとかなりの悲観論に走ってしまうのは、この週末にNHKが「SAVE THE FUTURE」、日テレが「Touch! eco 2008」などというスペシャル番組を組んでいるのを見てしまったからである。そんなキャンペーンをぶちあげて「地球環境を守りましょう」「二酸化炭素の排出量を減らしましょう」と主張する一方で、深夜の時間帯に放送される番組枠が減らないのはどういうことなんだろう。NHKに至っては「光熱費が半額・燃費向上CO2削減法」という内容の番組の再放送を夜中の2時台に組んでいる(光熱費をケチろうと思うなら、こんな時間にテレビなんぞ見ない方がいいに決まっている)。言行不一致も甚だしいんじゃないのか?
現代の「生産-消費-廃棄」というサイクルの文明を手に入れた時点で、人間は首を吊るロープに頭を突っ込んでしまったのではなかろうか。もちろん登っていた踏み台はすでに蹴られている。あとできることと言ったら、ロープが締まる速度をわずかに遅くすることくらいであろう。締まりきるまでにどれほどの時間がかかるかは誰にも分からない。
映画化されて続編も作られたマイクル・クライトンの『ジュラシック・パーク』に登場する数学者イアン・マルカムは、作中でこう言っている(映画にはないくだりである)。
危機に瀕しているのは地球じゃない。人類のほうだ。人間にはこの惑星を滅ぼすだけの力はない。救う力もない。しかし――自分たちを救済する力くらいはあるかもしれない……
人類の危機と地球の危機を同一視するのは思い上がりもいいところだ。人類という種の存続が地球の未来に益をもたらさない可能性も、ちょっとは考えようよ。
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