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2008.07.31

鉄の地巡礼・Scene2「鉄道博物館探訪」

 大宮の人には「大宮は鉄道の町」という自覚があるという。1993年2月に大宮駅を取材で訪れた宮脇俊三に、当時の駅長がコメントしている。

「嬉しいのは市民の皆さんに鉄道の町としての愛着があることですね。鉄道まつりをやろうとか、鉄道博物館をつくろうとか、そういう運動が盛りあがっています」(『駅は見ている』P.41)

 なるほど、後段の運動は実を結んだわけか。これを直に聞いた人物の見学が叶わなかったことは残念であるが。

 ……などといった感慨を抱く余裕はなかった。鉄道博物館への入場を前にして、おれはすでに変身直後のアイアンキングのように水を欲していたからである。ぬぐったそばから噴き出してくる汗は一向に止まらず、両脚とも攣る寸前だった。かといってここまで来て引き返しては、大宮まで何をしに来たか分からなくなる。かくて予定を完遂する意図のもと、鉄道博物館駅の改札前からエントランスゾーンへ続くプロムナードへと足を踏み入れた。

4カ国語の案内板時刻表とダイヤで彩られた通路

 プロムナードへの入口には、日本語・英語・中国語・韓国語の4カ国語で書かれた案内板が設置されている。路面のタイルには東北新幹線の時刻表(パンフには大宮開業時とあったが、上野と東京も入っていたぞ)が描かれ、天井には運行ダイヤがデザインされている。かつて交通博物館に設置されていたD51のカットモデルの前にはちょっとした人だかりができていた。いつの時代もSLはファンのあこがれを集め続けている。

入場ゲート  駅の改札と同様の入場ゲート。入場にはSuicaも使えるが、グリーン車の料金支払いと同様に料金を支払った情報をICカードの方に書き込む必要がある。今だから当たり前だと思うが、おれは入館時にそのままSuicaから差し引かれるものと勘違いして、情報を書き込まないまま入館しようとしてゲートに阻まれ、係の人に「あちらでお支払いを…」と言われてしまった。

ヒストリーゾーン1階

 ゲートを抜けて左に折れると、博物館最大の目玉である広大なヒストリーゾーンが広がる。由緒はあるが個人的になじみのない明治期の車両は瞥見で済ませ、ゾーン1階の中央に君臨するC57が転車台の上に乗ってお出迎え。この転車台は15時から回転イベントを実施する。このイベントでは回転中に4回、汽笛の吹鳴も行う。このイベントは実際に間近で見たが、密閉された空間内でのSLの汽笛は確かにけっこうな音量だった。 

 C57の後ろの位置には455系電車が展示されているが、改造されて両端部がロングシートになっていたのは残念。せっかくの国鉄色なのにもったいない。455系の車内を見ている最中に、ついに不安だった脚が攣った。悶絶しているところを心配してくれた通りすがりのお二方、ありがとうございました。

日本食堂への行列  平日であるにもかかわらず、館内で食事ができるスペースにはかなりの人が列を作っていた。日本食堂のスペースにも予想外の人数が行列を作っている。優等列車に当たり前のように食堂車が連結されていた頃は「食堂車は高くてまずい」と言われていたのに、なくなってしまうとそんなものにも郷愁すら感じてしまうのだから、思い出というやつはおそろしい。

コレクションゾーンのヘッドマーク  2階にあるコレクションゾーンに回ってみる。昔使われていた発券機や駅名標、ヘッドマークなどが展示されたスペースである。ヘッドマークの中には、以前オリエント急行が日本で走ったときのものや、ミステリー列車として運行された999号のものも。

博物館南側の特急形電車 博物館北側のキハ11

 博物館の外で撮ったものも2枚。1枚は南側の位置に留置された特急型電車。これは来場者の休憩施設となる。もう1枚は北側に寂しく留置されたキハ11形。それこそ「ぽつん」と、落ち着く場所がないかのように停まっているさまは、見ているこちらまで寂しげな気分にさせるものがある。

 転車台の回転デモを見届けて、おれは博物館を後にした。なにしろ両脚が攣るという異常事態になっていたので、早いところ宿に落ち着いて体を休めたかったのである。

この項さらにつづく

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