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2008.09.30

無知は個性じゃない

 今日も今日とてマンネリをものともしないテレビ局は、義務教育で習得する(であろう)レベルの知識を問題にするクイズバラエティをダラダラと4時間あまりも放送している。この種の番組になくてはならない(と製作者が考えている)のは、見当違いの解答を繰り出して笑いを取る係の出演者である。このところこの種の有名人は「おバカ」というレッテルを貼られてちやほやされているようだが、それがどうにも腑に落ちないでいる。

 その昔深夜枠で放映されていた『カルトQ』に出場する人々は、その偏った博識ぶりを変な目で見られたものだが、その驚愕の視線には「よく知ってるよなあ、こんなこと」と尊敬の粒子が含まれていたことを視聴者は承知していたはずである。ひるがえって現状はどうか。そこにあるのは「こんなことも知らないの?」という軽蔑のまなざしと、それに裏打ちされたねじれた優越感ではないのか。

 少なくとも、無知であることは罪ではない。しかしそれを個性であるかのように振る舞うのはやめるべきだろう。「おバカ」と言えばかわいらしく聞こえるのかもしれないが、「無知」と言ってしまえばそこまでのことである。テレビで教養のなさをひけらかす芸能人の賞味期限もそう長いものではないだろう。

 どうせ飽きられたら「過去の人」扱いされるだけだよ、あなたたち。無知がいつまでも売り物になると思うなよ。

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2008.09.28

『パソコンは日本語をどう変えたか』

 今朝の読売新聞に書評が載っていた本。個人的にはちょっと前に読んだものだが、いい機会なので読書録代わりにここに書いておく。

 こんなタイトルが付いているが、全体の8割くらいは『プロジェクトX』ばりに「コンピュータ上で日本語を表示させるために、技術者たちがどれほど苦労してきたか」というエピソードがつづく。バックに中島みゆきの「地上の星」と田口トモロヲのナレーションが欲しくなるが、このくだりは実に興味深くもあり、ちょっと懐かしく、読み応え十分である。コンピュータで日本語処理が実現する以前には「コンピュータで使えないくらいなら漢字なんか廃止してしまえ」などという乱暴な意見が大まじめに論じられていたというのはなんともおっかない。

 本書の終わりの方では、パソコンと携帯電話が普及した昨今では日本人の漢字の知識はどうなっているのか、触れられている。やっぱりなあ、とは思ったが、「読めるけど書けない」という傾向が見られるのは情けない限りである。

 パソコンの普及に伴って、P.244ではこんな指摘も挙がっている。

  • 難しい漢字も読めるが「手で」書けない
  • やたらと難しい漢字を使いがち

 前者については身に染みて痛感する。誰でも書けそうな字なのにど忘れしてしまい、「この字どう書いたっけ?」と慌てた経験は幾度となくある。おれもいちおう漢検の準2級を持ってはいるのだが、それでもこのざまである。くわばらくわばら。

 一方後者については、他人の文章を眺めていて実感する。「いわゆる」という言葉を漢字にする人をよく見かけるが、こうした人の9割以上は自分で「所謂」とは書かないはずだ。そりゃあもう、賭けてもいいくらい。

 先人たちの偉業に敬意を払うと同時に、手書きの重要性を再認識させられた1冊であった。

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2008.09.18

ふかしすぎの『タイタニア』

 第1巻の発売がかれこれ20年も前、その1年後に第2巻、そのまた2年後に第3巻が発売になったものの、いっこうに続編が書かれることないまま版元が移り、それでも続編が書かれることなく4年が経過したところでなぜかアニメ化が決定した田中芳樹の『タイタニア』。アニメの放映に併せて、今度は講談社に版元が移って文庫化された。

 それにしても、なんでこの時期になってのアニメ化なのだろう? 小説の方は、どうしても比較対象にされるであろう『銀河英雄伝説』より小物の印象はぬぐえないし、なによりも半端な状態で20年近くほったらかしにされてる(口の悪いファンは「実は『タイタニア』は全3巻で完結なのだ」とも言ったものだ)し、アニメにしたところでニーズがあるとは考えにくいのだが。

 ああそれなのにそれなのに。文庫版の帯にはそんな境遇の作品とは思えないような大げさなコピーが付けられていた。

 日本最高の 叙事詩 ついに 発動!!

 ……だって。いやはや、ずいぶんとふかしたものである。このコピーから、原作者に20年近く目をかけられていない作品のアニメ化とは想像もできない。正直なところ、アニメ化の報を聞いたときにまず思ったことは「やっぱりネタづまりなんだなあ、日本のアニメ業界は」であった。ひとまずは期待しないで見てみるつもりである。

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2008.09.11

気持ちが堕ちた日

 先週末の6日、明らかに気持ちが堕ちた。当日は新調したメガネを引き取りに出向いたのであるが、駅で電車を待っているときに突然スイッチが切れたかのようにぷつんと堕ちたのであった。電車を待っているときにこうなると、通過する貨物列車をホームから眺めているうちに「ここに飛び込んだら楽になれるかな…」なんて気分になってしまうだけに危険きわまりない。この日はメガネを引き取るなりさっさと帰宅して、夕食もまともに取らぬまま寝てしまった。

 翌7日も堕ちた気分は浮上してはこず、食欲も湧いてこないまま、1日の大半を寝床で過ごした。いわゆる「寝逃げ」というやつだ。

 こうも明確なタイミングで気持ちが落ちこむのも珍しいが、さすがにそのままにしておけないので、週明けの8日に精神科でカウンセリングを受けた際にはそのときの気持ちを洗いざらいぶちまけた(つもり)。それがよかったのか、通院後はいくらか気持ちが楽になった。

 それでも積極的に「死にたい」と思わないまでも、「なにかにしがみついてでも生きていたい」という気持ちになれないのは相変わらずなのであるが。

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