昭和と平成の高校野球事情

 北京オリンピックが開幕して影が薄くなった感があるが、夏の全国高校野球も若干控えめに開催されている。見ていて思うのは、自分が高校生だった1980年代半ばと比べると「高校野球も変わったもんだなあ」ということである。

 おれの高校時代の野球の応援というと、「カットバセー、○○(打者の名前)、××(対戦校の名前)たっおーっせー、おー!」とコールするのが定番だったが、もうずいぶん前に「××倒せ」は御法度になってしまった。教育上好ましくない表現だったのだろうか?

 また、タイムリーヒットが出たときやサヨナラ勝ちしたときなどにおおっぴらに喜びを表現する選手も、昭和の時代にはいなかったはずだ。手元にある、いしひさいちの『嗚呼!栄冠は君には輝かない』には、優勝してキャプテンを胴上げする選手たちを主審が注意するネタの漫画がある(作中に「昭和63年」との記述がある)が、今では優勝して監督やキャプテンを胴上げするのは当然のように行われているし、それを咎める審判もいない。かつて「喜怒哀楽の感情のうち、高校球児が試合中に表現していいのは『哀』だけ」とビートたけし(だったと思う)が皮肉った現実など、憶えている方が少数派ではないのか。

 ……と、当世の高校野球事情は確実に変化しているが、朝日放送系列で放映されている『熱闘甲子園』のお涙頂戴路線は年号が平成に変わって20年が経過しても相変わらずである。そしておれは、そんな『熱闘甲子園』が昔も今も嫌いなのであった。

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それいけ!ワンマンマン

 以前いしいひさいちがこんなタイトルの本を出そうとしたら、モデルにされた当人から苦情が来て差し止めになったという、読売新聞社主筆。自分のところの野球チームがクライマックスシリーズで屈辱的な3連敗を喫したもんだから、報道陣の前でキレてしまった。nikkansports.comより(強調部分は引用者による。以下同じ)。

 大勢の報道陣が集まったホテルのフロアで、渡辺会長のダミ声が響き渡った。5年ぶりのリーグ制覇を果たしながら、CSで3連敗して日本シリーズ出場権を逃しただけに「制度がよくない。リーグ優勝はなんの意味もない。おれがオーナーの時は絶対に反対した。誰がどうしたか知らねぇが、こんなくだらん制度をつくった」と次から次へと不満をぶちまけていった。

 クライマックスシリーズという制度にはおれも不満がある。そもそも「ない方がいい」と思ってもいる。日本シリーズにはリーグ優勝したチームが進むべきだし、対等でない条件でプレーオフ(言葉を飾ってはいるが、やはりこれはプレーオフであろう)が行われるのもおかしい。パ・リーグのクライマックスシリーズを見ている時点で、「セカンドステージで巨人が負けたら、ナベツネが怒り出して『こんな制度やめちまえ』って言うんだろうな」という話題は家人との間に上っていた。そんな予想から1ミリもずれないこの発言はさすがだ、ワンマンマン。記事を読んでおれと弟は大爆笑した。

 しかし、記者の方は冷静である。「わがままな支配力」を持つ権力者に痛烈な一撃を加えている。

 確かにCS制度の改革の余地はあるが、敗戦が決まった直後での批判は負け惜しみ以外のなにものでもない。ましてや球団トップの人間が、自軍の監督批判は論外。シーズン中間報告やリーグ優勝報告では絶賛していた原監督の采配も、たった3試合のCSでの敗戦で、あっさり手のひらを返して猛批判。白けムードが漂った。大権力者の傍若無人な発言がチームの士気を弱め、巨人人気を低迷させていることに、まだ気がついていないようだ。

 ……この記事をブログのネタにするために考えごとをしていたら、頭の中に「アンパンマンのマーチ」が変な歌詞で流れてきた。

そうだ うれしいんだ
稼ぐ よろこび
どうせ胸の傷はいたまない

なんのために生まれて
なにをして生きるのか
儲けられないなんて
そんなのはいやだ!
カネを稼ぐ ことで
熱い こころ 燃える
だから 君は いくんだ
あさましく
そうだ うれしいんだ
稼ぐ よろこび
どうせ胸の傷はいたまない
ああ ワンマンマン
いやしい 君は
行け!自分のカネ 稼ぐため

 曲がりなりにもメディアを仕切っている以上は、不特定多数の無名人が発する罵詈雑言を封殺することなどできないことはご承知でしょう? ワンマンマンどの。

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なにやってんだ高野連

 野球部の特待生問題に関する高野連の対応が連日報じられているが、あまりにも場当たり的、悪く言えば行き当たりばったりな対応は、報道を見ていてイライラしてくる。MACさんの記事に寄せたコメントと重複するが、大学では一芸入試が認められているのに、どうして「野球だけダメ」なのか? 高野連はそんな問いに対して万人が納得できる回答を示せないでいる。読売新聞5月3日の記事より。

 しかし、「なぜ野球だけが駄目なのか」という疑問には、過熱した戦前の学生野球の歴史や「高校野球は教育の一環、フェアプレーの精神で行われている」などと、脇村会長はこれまでと同じ説明を繰り返した。

 他のクラブ活動は「教育の一環」ではないと? 野球以外の体育会系クラブの競技は「フェアプレーの精神で行われて」いないと? 西武球団の裏金問題に端を発した一連の騒動が起きるまで、高野連は越境入学などを事実上黙認してきておきながら、どうして事が大きくなってからしゃしゃり出てきて監督者面するのか。いくら現状に即していないとは言え「ルールはルール」、それを守らない側に対して制裁を加えるのは当然の措置だろう。でも、あんたたちは「そういうことはいけませんよ」と指導なり監督する立場にあるんじゃないのか? 騒動の収拾を現場に押しつけた当の脇村高野連会長はぬけぬけとこうコメントした(読売新聞5月11日の記事より)。

 脇村会長の話「憲章違反の学校が多く、現場が混乱したから、緩和措置を決めた。できるだけ理解をいただきたい」

 自分たちで混乱の種をまいておいて、よくもそんなことが言えるもんだ。あんたたちの後手後手の対応が現場を混乱させた要因のひとつなのに。

 ふと思い立って、日本学生野球憲章を読んでみようとしたら、あまりにも難解な前文が書かれていて頭がくらくらしてきた。

 われらの野球は日本の学生野球として学生たることの自覚を基礎とし、学生たることを忘れてはわれらの野球は成り立ち得ない。勤勉と規律とはつねにわれらと共にあり、怠惰と放縦とに対しては不断に警戒されなければならない。元来野球はスポーツとしてそれ自身意昧と価値とを持つであろう。しかし学生野球としてはそれに止まらず試合を通じてフェアの精神を体得する事、幸運にも驕らず非運にも屈せぬ明朗強靭な情意を涵養する事、いかなる艱難をも凌ぎうる強健な身体を鍛練する事、これこそ実にわれらの野球を導く理念でなければならない。この理念を想望してわれらここに憲章を定める。

 これが制定されたのと同じ年に公布された日本国憲法の前文と比べてみると、「なんだこりゃ?」である。よほど語彙の豊富な人でなければ文脈を理解することはできないのではあるまいか。こういうものに縛られているせいで、高校野球には一抹の硬さが感じられるようにも思える。……もうちょっと楽しく野球しようよ。

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バカにバカと言われる人たち

 西武球団の金銭授受問題に関してコメントを求められた「ワンマンマン」ナベツネの回答。nikkansports.comより。

 巨人渡辺恒雄球団会長(80)は4日夜、都内ホテルで会食後、西武の調査委員会が「他球団でも同じようなことをやっているのでは」など同様の金銭授受が他球団にもあることを示唆した中間報告の内容に強い不快感を示した。「西武とは、これから話し合っていかないといけない」とした上で「あの人たち、バカだね。(大切なのは)まず自分の身を正すことであって、モラルの欠如だな。非常識だ。バカバカしい」と怒りをあらわにした。

 言っていることはごもっともである。「お前らもやってるんだろう?」と言う以前に、「自分たちがしてきたことはいけないことだ」と認識しなければいけないのではあるまいか。……とは言うものの、コメントしたのがナベツネであるだけに説得力がまったくない。「あんたが言えた義理か」とツッコミのひとつも入れたくなった人はおれだけではないと思う。自分が過去にしてきたことを棚に上げて、やれモラルだやれ非常識だとコメントするなど笑止である。

 取材を受けたのが夜の会食後というから酒も入っていたかもしれないが、曲がりなりにも会長というポストにある人が、平気で「バカ」と連発するのはいかがなものか。こういう人が会長をやっている巨人っていったいどうなっているんだろう。

 得てして心にやましいところがある人ほど必要以上に饒舌になるものだが。

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箱根駅伝を走ったお仲間

 年末年始のローテンションのせいで書きそびれていたが、幼少期に水頭症の手術を受けた選手が箱根駅伝に出場していた。その選手は日体大の6区を走った石谷慶一郎くん。

 彼の場合は先天性の水頭症であったらしい。おれも同様の症状で都内の病院に入院したことがあるのだが、いつの間にか脳室の大きさが正常になったらしく(幼少期の水頭症では、頭蓋骨がくっついていないために頭そのものが大きくなるという)、手術は行われないまま退院した。両親はこのときのことが頭から離れなかったらしく、その後もおれが「頭が痛い」などと口にすると「検査してもらった方がいいんじゃない?」と切り返したものである。そうして長いこと大過なく暮らしてきたのだが、昨年になってついに手術を受ける羽目になった(経緯に関しては「水頭症」のカテゴリーにまとめたのでここでは触れない)。ニュースサイトなどで報じられているところによると、石谷くんが受けた手術もおれと同じ「脳室腹腔シャント術」であったようだ。

 たしかに水頭症の症状はこの手術でどうにかなる。しかし体内に異物を埋め込んでいる以上、それがいつトラブルを起こすかは分からない。折悪しく石谷くんの身にそのトラブルが降りかかったのは全国高校駅伝の当日だった。彼の不調のためにチームは棄権を余儀なくされ、石谷くんは「自分のせいで…」と自責の念にさいなまれたという。同様の手術をしている人には誰にも起こりうることなのだが。

 そんな無念を、彼は箱根の山くだりでの力走にぶつけたのだった。これが報じられることで、水頭症という病気の世間への認知度も上がるのではないだろうか。それにしても、自分と同じ病気を持った選手が箱根駅伝で走っているというのは妙な仲間意識を持たせてくれる。

 来年も出場するときはちゃんと見るからな、石谷くん。お互いがんばろうぜ。

2008年1月3日追記:今年も石谷くんは6区を走ったが、14位からひとつ順位を上げたにとどまり、走っている姿もほとんど撮してもらえなかった。日体大も総合順位は12位でシード権を失った。残念。

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暇人たちのハンカチ探し

 夏の高校野球で優勝投手となった早稲田実業の斎藤投手は、普通ならアンダーシャツの袖で拭う顔の汗を、タオル地のハンカチで丁寧に拭くことで実績以上に話題になった。誰が名付けたのか「ハンカチ王子」などという気色の悪いニックネームまでいつの間にか付いていた。本人はこう呼ばれることをどう思っているのだろう。

 そんな斎藤投手の功績にあやかろうというのか、同じものを持ちたがる人が少なからずいるらしい。nikkansports.comより。

 佑ちゃんの「青いハンカチ」を探せ-。早実斎藤佑樹投手が使ったタオル風ハンカチが話題を集めているが、全国のデパートなどには「どこのブランドか教えて」と問い合わせが相次いでいる。デパート側もメーカーなどに聞いているが、いまだに斎藤のハンカチは特定されていない。テレビ局のワイドショーもチームを結成して探している。デパートでは、似た模様の青いハンカチをまとめ買いする人も現れているとか。

 これが「芸能」扱いの記事というあたりにどうしようもない救いのなさが垣間見える(記事の書き出しが『佑ちゃんの「青いハンカチ」』という段階で正直げんなりだ)。どこのブランドのものか知ってどうしようというのだろう。本人が汗を拭いたものならそれこそいい験担ぎになるだろうが、いくら同じものを手に入れたところで、所詮は何枚生産されているかすら分からないただのハンカチの1枚に過ぎない。わざわざ「チームを結成して探している」というワイドショーのスタッフには「よくやるよ」と言ってやりたい。ワイドショーの作り手ってヒマなんだねえ。

 記事には西武百貨店池袋本店の談話も載っている。

 22日は、開店と同時に青いハンカチをまとめ買いする客や、1人で複数枚買う女性客がいたという。同店では「まだ、あのハンカチのブランドなどは特定できていないのですが、縁起がいい『幸せの青いハンカチ』ということで、同じ青色のハンカチを買う人が増えたようです」と話した。斎藤が使うタオル地のハンカチはもともと、実用性が高いことから今年は売れていたが、ここ数日はさらに売り上げが伸びたという。

 なぁにが「幸せの青いハンカチ」だ、ケッ、と関心のない人間の立場からすると思ってしまう。どうせ年末の今年を回顧する番組で取り上げられて、その後は斎藤投手が再びプロ野球選手としてマスコミに登場したときに「あー、夏の甲子園で優勝したときに買ったんだっけ」という思い出のアイテムになるのが関の山だろう。

 流行り物は必ず廃れるもの。どうせ数年も経てば「幸せの青いハンカチ」とやらでそこいらのホコリを拭くんだろう?

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引き分け再試合、その裏で…

 今年の全国高校野球決勝、大会3連覇を狙う駒大苫小牧と悲願の初優勝を狙う早稲田実業の対戦は白熱した投手戦となり、7回まではスコアボードにゼロが並び、延長戦でもお互いチャンスをものにできぬまま、大会規定の15回終了を持って引き分け再試合となった。

 3回途中から登板した駒大苫小牧の田中投手も、15回を完投した早稲田実業の斎藤投手も、160球以上の力投を見せた。特に斎藤投手は延長戦に入っても3連投しているとは思えない気迫のピッチング。試合経過を追っているうちに「どっちが勝ってもいいや」という心境になった人もいたのではないだろうか。

 それだけに、再試合が翌日の13時開始という日程はどうにかならなかったのだろうか? FREE TIMEさんが指摘しているが、インターバルを置くなり試合開始時刻を遅らせるなりの処置がなぜ取れないんだ、高野連。今大会では雨による順延もなかったから日程には十分余裕があるはずなのに。「過酷な大会日程が将来有望な芽を摘んでしまう」とは以前から言われているが、田中・斎藤両投手が無茶な日程のせいで潰れてしまわないことを祈る。

 そんな「引き分け再試合」のとばっちりを食らってしまったのが両校応援団のみなさん。asahi.comより。

 試合終了、引き分け再試合。選手たちに、総立ちで拍手を送った応援団だが、「今夜の宿はどうしよう」。翌21日も甲子園で応援するため、ホテルに延泊を頼んだり、帰りの飛行機の切符を変更したりと、大忙しだった。

 こういう報道を目にしてしまうと、安易に「再試合するなら1日開けろ」とは言えなくなってしまう。選手はともかく、応援団の交通費と宿泊代は自腹なのだから。

 明日の甲子園球場方面の天気は今日と同じように晴れとのこと。選手も応援団も「熱闘甲子園」の時間まで起きてないで、たっぷり休養を取って再試合に臨んでほしいと思う。

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無責任な引責

 所属選手の起こした不始末を受けて、茨城ゴールデンゴールズの萩本欽一監督は「チーム解散」というひとつの決断を下した。しかし本当にそれでいいのだろうか。全国的にはもちろんのこと、地元茨城での影響も計り知れないものがある。今のところ耳に入ってきている声は圧倒的に萩本監督の慰留を求めている。そりゃそうだ。どう考えても一選手の不祥事とチームそのものの存続を秤にかけるというのは間尺が合わない。

 監督も事態の重大さのあまりに「解散」という言葉を使ってしまったのかもしれない。それにしたって、チームの関係者が雁首揃えて路頭に迷うというのはあんまりだ。ゴールデンゴールズの選手たちは野球がやりたくて集まってきたのだ。ある人はかつての野球少年の夢を捨てきれずに、またある人はそれまでの職場を捨ててまで、新しい土地での新生活を選んだのである。そんな人たちに対して「ボクもうイヤになっちゃったから、チームは解散ね」などと言えるのか。もしそうだとしたら、おれはスポーツマンとしての萩本監督を買いかぶっていたことになる。

 19日の記者会見で「今の気持ちは」と訊かれた萩本監督はこう答えている(nikkansports.comより)。

事が大きいのでどう考えていいのか。でもやめる以外考えられない。応援してくれた方には申し訳ないけど、やっぱり相手の方にも失礼だし。それに一番野球に対して失礼しちゃったんだから。

 ……いや、ファンよりもまず自分たちの選手たちのことを考えてくださいよ、監督。当面はきついバッシングも覚悟しなければならないだろうが、チームそのものを解体してしまう以外に監督兼オーナーとして果たすべき役割があると思う。茨城ゴールデンゴールズはあなたの私物でないことをお忘れなく。

7月22日追記:asahi.comの報道によると、萩本監督は解散を撤回する意向らしい。ふぅ。

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「ゴォ―――――ル」

 サッカーというスポーツは不思議なもので、あまり興味がないおれがぼーっと見ているだけのはずなのに、気が付くと画面に見入っていたりする。興味がない人間でこれだから、興味ありありな人だと、おれの10080倍くらいの集中力で試合を食い入るように見る。のめり込み方が尋常でないから試合後にはサポーター同士で乱闘沙汰なんかになったりする。

 のめり込むのはサポーターに限った話ではない。試合を実況するアナウンサーも相当なハイテンションになっている場合が少なからずある。Jリーグ設立以前の中継では、サッカーの実況に慣れていなかったアナウンサーが「シュート! 右に切れた、ファール!」なんて珍実況をやらかしたこともあると聞く。

 そんなころから今なお続くパターンの「絶叫型実況」の典型として、今回の記事タイトルのように「お前はいつまで叫ぶつもりなのだ」と突っ込みたくなるくらい、無闇に長く「ゴォ―――――ル」と叫ぶアナウンサーがいまだにいる。バリエーションとして、シドニーオリンピックの日本×南アフリカ戦で「ゴール」と29回も連呼してひんしゅくを買った実況アナウンサーもいる。どうにもこのタイプの実況は苦手である。局アナ時代の古舘伊知郎がプロレス中継で確立させたスタイルが「こんなのもありなんだ」と認知されてしまったのではないかと個人的には思う(F1の中継ではずいぶん叩かれたが)。

 ……などと書いている翌日にはサッカーワールドカップで日本×クロアチア戦が行われる。ことスポーツ実況に関してはいい評価を聞かないテレビ朝日が、地上波では中継を担当する。実況を担当するのは、これまたあまり評判のよろしくないアナウンサーのようである。日本が先制点を取ろうものならどれほどぶっ壊れるのやら。

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勝敗と観戦態度

 世間的にはサッカーのワールドカップが開幕し、さも日本中がサッカー一色のような状態になっている。多分にマスコミが煽っている気もするし、「日本代表を応援しねえやつは日本人じゃねえ」みたいな風潮が少なからずあるような気もする。

 いざ開幕して日本代表の初戦が行われ、その試合が土壇場で逆転負けなんか食らったりすると、こんなことを言い出す人がいたりする――「やはり横になって試合の中継を見てたのがいけなかったんですかねえ」。いや、そんなの関係ないから。実際にスタジアムに足を運んで「応援が足りなかった」と痛感するというのはあるかもしれない。しかし、前出のようなことを口走る人はたかだかテレビあるいはラジオ観戦である(ラジオだったら『観戦』じゃないか)。日本がそうであったように、オーストラリアでも横になってビールかなんかをかっくらいながら試合を見ていた人もいたはずである。

 むしろテレビで観戦している人間が「自分の応援が足りなくてひいきのチームが負けた」などとほざくのは、実際に試合をしている選手に対して失礼なのではあるまいか。試合をしているのは周囲の取り巻きじゃなくて選手なのだから。

 応援と試合の勝敗の相関関係なんぞはこんなものである。

  • 応援したらひいきのチームが勝った。
  • 応援したがひいきのチームが負けた。
  • 応援しなかったがひいきのチームが勝った。
  • 応援しなかったらひいきのチームが負けた。

 引き分けの可能性を除外すれば、これだけのことである。モノポリーでダイスを振るのに思わず念を込めてしまうのと次元は一緒だ。世間がどう騒ごうが、スポーツの国際大会である以上、優勝した国に優勝杯が行くだけの話である。別に国際的な主導権を握られるとか、自国の領土をぶんどられるとかされるわけでもない。もうちょっと肩の力を抜いて楽しく観戦しようよ、スポーツなんだから。

 ……などと無責任なことを言えるのは、単におれがワールドカップに対する興味がないせいであるが。

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国際大会なのに

 この記事を書いている時点で、現在進行形でワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の準決勝・日本-韓国戦が行われている。マスコミはしきりに騒ぎ立てているが、おれ個人はかなりしらけた目でそれらの報道を見ている。なんなんだ、このお粗末きわまりない「なんちゃって国際大会」は。

 そもそも開催に至るまでの道のりからして不純である。「ステイツのベースボールは世界一なのだ」というアメリカの驕りがむきだしだ。WBCをネタとして取り上げるに当たってWikipediaの記事を読んでみたのだが、課題だらけであることに気付かされる。

  • 曲がりなりも「世界一」を決める大会なのに、なんでピッチャーに投球制限が課せられるのか?
  • なぜ1次予選リーグの組み合わせは抽選ではなく主催者側の一存で勝手に決められたのか?
  • 国際大会を標榜しておきながら、審判32人のうち22人がアメリカ人なのはなぜなのか?
  • あまつさえアメリカ戦のジャッジにまでそのアメリカ人の審判が参加しているのなぜなのか? ボクシングでもサッカーでも第三国の審判がジャッジするのが当然なのに。

 案の定、アメリカ戦で同じ審判が2度もあからさまなアメリカ寄りの判定をして問題視されている。スポーツマンシップにもとるとしか言いようがない。「マイナーリーグの審判を使っているから」という声もあるようだが、メジャー所属だろうがマイナー所属だろうが、公正なジャッジの下せない審判に試合を仕切る資格はない。

 審判を抱き込んで(?)まで行われたメキシコ戦でアメリカは敗退し、日本が準決勝に駒を進めたのだが、「よくやってくれたメキシコ! がんばれニッポン!」という論調の影で、おれは「ざまあみやがれアメリカ」と思っている。

 第2回大会は2009年の開催予定だそうだが、言い出しっぺのアメリカがどんなわがままを言い出すのか、いささか意地の悪い楽しみがある。「アメリカが決勝に進めないような国際大会ならもうやらない」とか、「もっとアメリカが決勝に進みやすいシステムに改悪する」とか、「1次予選はアイスホッケー、2次予選はサッカーで行う」というワケの分からないことを言い出すのではあるまいか。

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メダル狂騒曲 in トリノ

 今日は朝からイライラしていた。それというのも朝食時に見るハメになったフィギュアスケートのせいである。最後に演技したスルツカヤ選手が尻もちをついた瞬間に「やった!」と喜んだ不届き者は日本中いたるところにいたものと思う。NHKなどは正午のニュース枠を拡大してまで大はしゃぎしていた(ラジオの話。テレビはどうだったか知らない)。イライラのあまり、診察のために出かけた病院で主治医のN先生にまでグチってしまった。先生はカルテになにやら書き付けていたが、何を書いていたのやら。

 持ち上げて持ち上げて、さらに持ち上げて、もういっちょ持ち上げて、と、さんざん持ち上げておいてどん底まで突き落とすのは日本のマスコミのお家芸である。オリンピックでも毎度毎度過剰な期待を勝手にしておいて、実際にメダルが取れないとこき下ろす。「プレッシャー」だの「重圧」だのと他人事のように口にしているが、その先棒をかついでいるのが自分たちであることの自覚がまったくないから困ったもんだ。

 今にして思えば、一昨年のアテネオリンピックで日本人選手がメダルを取りすぎたのかもしれない。「メダルは取って当たり前」なんて勘違いでもするようになったのか、関連番組では枕詞のように「日本にはまだメダルがありませんが」などと冒頭に口にしていたものである。これがまたうっとうしい。クーベルタン男爵の「参加することに意義がある」というオリンピック精神はどこに行ってしまったのだろう?

 どうでもいいが、トリノオリンピックの金メダルは真ん中に大きな穴が空いているせいでDVDに見えて仕方がない。

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悪魔が来たりて相撲を語る

 本日、大相撲初場所は8日目中日。そんな日にNHKはテレビ中継のゲストにデーモン小暮閣下を招いた。土曜日のスポーツ番組で相撲関係のコメンテーターを務めている関係からのオファーと思われるが、画面左側から実況の吉田賢アナウンサー、閣下、解説の音羽山親方(元大関貴ノ浪)という絵はかなり笑える代物であった。しかも紹介テロップはちゃんと「デーモン小暮閣下」である。

 放送中、吉田アナはほとんど「デーモンさん」と呼びかけていたが、ちゃんと「閣下」とも呼びかけていたのはご立派。NHKのアナウンサーが「世を忍ぶ仮の○○」というフレーズを口にするのには、本来そうそう耳にできないだけに妙におかしい。

 新聞のテレビ欄では「ゲスト・デーモン小暮」とあったので、てっきり向正面に座るのかと思っていたが、先述の通り閣下がいたのは正面放送席。そりゃまあ「世を忍ぶ仮の姿」で来られても視聴者の大半は閣下と気付かないだろうし、だからといって公の方の顔で向正面に座られては目立ちすぎるから(あの顔で琴欧州の稽古風景を見ている映像はやはり異様であった)、今回の措置は妥当であっただろう。

 実際の放送でも、閣下は差し出口を挟むことなく、制限時間いっぱいになると吉田アナと音羽山親方にマイクを預けていたのは、「自分は一介の相撲ファンである」というスタンスを崩さなかったゆえか。年輩の相撲ファンで閣下を「イロモノ芸能人」と思っていた人たちは多少なりとも見識を改めたのではなかろうか。

 それにしても驚かされるのはデーモン閣下を含めた相撲ファンの記憶力である。「印象に残る取組」と言われたときに「何年の何月場所の何日目、誰と誰の取組」と挙げられるのだ。日頃ぼえーっと見ているだけの人間には到底真似できない。強いて喩えるなら、ゴジラのファンが着ぐるみを見て「この着ぐるみは○○で使われたもの」と答えられるのと似たようなものなのだろうか。それにしても熱烈なファンというのは凄い。

追記:この件については、滑稽本さんの記事がとにかく詳しい。「熱心な人の視点から見ると、相撲はこうも面白いものなのか」と唸らされる。

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我が家の自虐的虎党

 2005年のプロ野球日本シリーズは千葉ロッテマリーンズの4連勝で幕を閉じた。実にあっけない幕切れであった。第3戦までの3試合で合計30点も取るチームに、その対戦相手が4連勝して逆転勝ちするとは到底思えなかったこともある。

 第4戦をあきらめムードで見ていると(この時点では2-0でロッテがリード)、ふらりとリビングにやってきた弟はこう言ったものである。

 「ロッテが勝ってる? それとも阪神が負けてる?」

 おれは5秒ほど考えて「んー、どっちかっつうと阪神が負けてる」と答えた。

 ところで、我が家では親父が熱烈な阪神ファンである。もちろんリーグ優勝したからと言って川に飛び込んだり、「六甲おろし」を大声でわめき散らしたりするほど無鉄砲ではないが。その親父も試合経過を見て今回の日本一はないと悟ったか、「明日セブンイレブンでデイリー買ってきてくれないか?」と口にした。デイリースポーツは言わずと知れた阪神寄りのスポーツ新聞である。我が父ながら、なんとまあ自虐的な……。

 そして今朝のこと。朝食を取りにリビングに降りていくと、デイリースポーツはすでに食卓の上に乗っていた。大見出しは当然のように「屈辱4連敗」。おそらくは関西方面では更に過激な表現の見出しが1面を飾っていたであろう。それでも1面の写真がバレンタイン監督の胴上げではなく、今岡のタイムリーヒットの瞬間だったのは編集サイドの悪あがきであろうか。実際に買ってきた弟は「他の新聞とは写真が違うからすごく目立ってたよ」と語った。

 やはりロッテ投手陣の誰かが「阪神は楽天より弱い」くらいの過激発言でもしない限りは逆転優勝の目はなかっただろう。なお、元ネタにした発言者の名誉のために付け加えておくと、彼は「巨人はロッテより弱い」などとは一言も言っていない。いろいろな要因があったとはいえ、くだんの発言でネタにされたチームが日本一になるとは、時代は移ろうものである。

 ちなみに親父は日本一決定の瞬間は入浴中で、テレビ観戦どころかラジオすら聞いていなかった。

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21分繰り下げ

 2005年のパ・リーグプレーオフは、なんだかんだで最後の第5戦までもつれ込み、千葉ロッテマリーンズが31年ぶりのリーグ優勝を手中にした。制度としては一向に納得のいかないプレーオフではあるが、かつてソクラテスが言ったように「悪法も法」である。バレンタイン監督以下マリーンズの選手諸氏と長らく優勝を待ちわびていたロッテファンには「おめでとうございます」と、そして王監督以下ホークスの選手諸氏とホークスファンには「また来シーズン頑張ってくださいね」と、それぞれ声をかけたい心境である。

 レギュラーシーズンはおろか、ことプレーオフに至ってもセカンドステージの第3戦まで中継しなかった地上波のテレビ局(関東圏どころかプレーオフ実施中の福岡でもテレビでの放送はなかったようだ)も第4戦になってようやく重い腰を上げた。どちらかのチームが3タテで決めてしまえばせっかくの放映権も宝の持ち腐れになってしまうだけに、第4戦と第5戦の放映権を持っていたテレビ東京にとっては願ったりの戦況だったであろう。

 おれはラジオで中継を聞いていた(試合はともかく見たくもないCMを見せられるのが嫌なので)が、マリーンズ1点リードで迎えた9回裏の時点になってテレビの中継を見にリビングに下りた。どちらが優勝するにしてもその瞬間を見たかったし、それ以上に以降の番組の放映時間がどれくらい繰り下げられるか知りたかったからである。試合終了は22時の少し前(関東地区の瞬間最高視聴率は21時46分に出たから、この前後の時刻であろう)であったから、「こりゃ1時間半は押すかな」と思っていたのだが、局側の取った措置は意外だった。21時台に予定されていた番組「月10万円」を休止して(よくスポンサーが納得したものだ)、以降の番組を21分繰り下げて放映する、とのことだった。

 おれが驚いたのは、もちろん「21分」という半端もいいところの繰り下げ時間である。なぜ20分ではなく21分なのか。その1分ってなんなんだ。そんな半端な時間延ばすくらいなら、30分繰り下げた方が視聴者側も分かりやすいのに。局側の納得いく説明がほしいところである。

 それにしても、やっぱり腑に落ちないよなあ、本来2位のはずのチームが優勝ってのは。

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なんとかならんかプレーオフ

 セ・リーグでは阪神の優勝が決まり、日本シリーズでの対戦相手は8日から始まるパ・リーグのプレーオフの結果待ちということになった。西武の伊東監督はなにやら意欲を燃やしているようだが(nikkansports.com)、ひとつだけ注文がある。

 頼むから、逆転優勝だけはしないでくれ。

 レギュラーシーズン終了の段階で、1位のソフトバンクと2位の千葉ロッテのゲーム差は4.5、ソフトバンクと3位の西武のゲーム差は23で、しかも西武は勝率が5割を下回っている。それでも現行のプレーオフ制度のもとでは、西武にリーグ制覇どころか日本一の可能性すら残されている。だからといって、これで西武が優勝などしてしまったとしても納得できる者は誰一人いないのではなかろうか。当の選手たちすら「なんかおれら優勝ってことになっちゃったけど、本当にこれでいいのかなあ」と思うのではないか。

 以前このブログでプレーオフ制度について触れたときに危惧していたこと(首位から10ゲーム以上離されていたチームがリーグ制覇をしてしまう可能性)が実現してしまうかもしれないというのは、正直なところ恐ろしい。実際、現行のパ・リーグのプレーオフ制度には問題がありすぎる。なんでレギュラーシーズンで勝ち越せなかったチームにまで優勝の権利があるのだろうか? プレーオフを実施するのであれば、むしろ1973年~1982年まで実施した2シーズン制を復活させる方が妥当なのではないのか?

 以前の主張を繰り返すが、プレーオフは同格の相手同士が対戦すべきであると思う。単に「客が呼べるから」という貧弱な理由で上位3チームでのプレーオフを行うのは筋が通らないのではあるまいか。

 そんなわけで再度のお願い。西武のみなさん、2年連続の逆転優勝は勘弁してください。

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大丈夫か、楽天?

 東北楽天ゴールデンイーグルス(この正式球団名はやはり長いな)の田尾監督が、就任わずか1年で解任されることになった。さすがに第一報を聞いたときには「なんで?」という印象がぬぐえなかった。

 いくら25日時点でのチームの成績が38勝95敗1分という惨憺たるものだったとはいえ、田尾監督は3年契約であり、今季が新規参入であったことも考えれば、今シーズンの成績だけで監督の首を切るのは酷というものではないか。ましてや選手の大半は昨シーズンの5位と6位の球団の、それも一軍半と言っていいようなメンバーだった。開幕前に「100敗するのではないか」とまで言われていた(実際に結果は限りなくそれに近かったわけだが)チームが、いきなりAクラスに食い込めるとでもフロント連中は考えていたのだろうか。だとしたら、こいつらは度の過ぎた楽天家としか言いようがない(親会社の名前に忠実と言えば忠実か)。

 このチームのフロント連中の考えがいささかおかしいのではないか、という疑念を持ったのは今回の件に始まったことではない。4月15日の日本ハム戦から27日のオリックス戦にかけて11連敗した後の30日にはキーナートGM(ゼネラル・マネージャー)をチームアドバイザーに、山下ヘッドコーチを二軍監督に、駒田バッティングコーチを二軍に、それぞれ降格させている。本来であれば戦力補強を図るところであり、指導者の人事に頭を悩ませる局面ではないのではないか。

 米田球団代表は今回の監督人事について「現場サイドとしてはよりよいチームをつくるため、チームの再構築が必要。避けて通れない道」と説明しているが、なぜそうも性急に結果を求めるのだろう。岩隈投手もデイリースポーツの取材に対して「何も言いようがないが、1年で解任というのはどうかと思う。このチームの戦力じゃ勝てないと思う。これから作っていかなきゃ」とコメントしている。

 確かに今シーズンの楽天は弱かった。しかしファンはそんなチームを見捨てるようなことをしなかった。負けが込むと球場に足を運ばなくなる、どこぞの在京球団のファンとはえらい違いだ。わずか1シーズンでの田尾監督の解任は、球団側がファンを裏切ることではないかと思うのだが、どうか。

 マスコミは監督の後任人事としてシダックスの野村監督の名前を「有力」として挙げているが、その野村監督が阪神の指揮を執った3年間、チームはずっと最下位だった(3年での退団は不本意な形であったが)。野村監督が1年で結果を出せなかったら、そのときはやはり首を切るのだろうか。もしそうなるのなら、誰がそんな球団の監督など引き受けるだろう?

 すげ替えるべき首は監督ではなく、むしろフロントの方ではなかろうか。本気でチームを強くする気があるのなら、もう少し長期的な視点が必要なのでは、と思わずにはいられない。

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いわゆるひとつの新聞辞令

 今シーズン不振にあえぐジャイアンツの次期監督に現在阪神のオーナー付シニアディレクターの星野仙一氏が就任するらしい、なんて話はどこから湧いて出たのだろうか。この話を聞いたときのおれの第一印象は「ありえない。新聞辞令ってやつじゃないのか?」だった。

 それでもこの話は一人歩きを始め、プロ野球の試合があろうとなかろうと、スポーツ紙の一面には連日星野氏の名前がでかでかと載るようになった。やれ年俸は10億円だの、原前監督をヘッドコーチに据えるだの、さも既成事実のように報じられているのを当の本人はどんな気持ちで見ていたのだろう。

 そうしてさんざん本人以外の外野連中が大騒ぎした挙げ句の果てに、今日の記者会見で星野氏本人が来季も阪神のシニアディレクターに留任することを表明した(asahi.com)。会見ではこうも言っている。

巨人の次期監督候補として取りざたされている現状について、星野SDは「報道が勝手な方向に進んでいる」と話し、これまで巨人から正式な就任要請はないことを改めて強調した。

 結局、今回の騒ぎは巨人フロントあたりの個人的願望に、マスコミの興味本位な思い込みが便乗して暴走した結果ではないだろうか。ZAKZAKなんぞはほとんど決定事項と思いこんでいたらしく、記事の結びはこうだ。

 一方、堀内監督に代わる次期監督の最有力候補としてリストアップしていた巨人。ただ、星野SDが留任の意向を示したことで、後任人事はより難航しそうだ。

 勝手にリストに名前を追加してたのはあんたらマスコミじゃないのか? 今朝の朝刊に載っていた週刊現代の広告には、「独走スクープ」と銘打ってこんな大マヌケな見出しが躍っていた。

星野仙一「母の命日に誓うG軍入り」

 記者会見のニュースを見た後で見たらマヌケさ倍増であった。堀内現監督の今季限りでの更迭はほぼ間違いないだろうが、さて後任には誰が据えられるのやら。

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巨人戦中継、都落ち

 とかく今シーズンはプロ野球中継の視聴率低迷が話題になる。セ・パ交流戦の頃には瞬間最大風速的に盛り返しはしたものの、巨人が弱いせいなのか総じて視聴率は低空飛行である。

 そして今朝、朝刊のテレビ欄を見たおれは驚いた。フジテレビで中継される広島×巨人戦の放送開始時間が午前1時35分。リーグの6位と5位の試合、スポーツニュースで試合結果は分かっているはずの時間、当然放送内容は録画。明日は休みの人が多いであろうことを差し引いても、いったい誰がこんなものを見るというのだろう。編成局側が「もうやる気ありましぇ~ん」と言わんばかりの処置と言うべきか。「とうとう巨人戦中継もここまで落ちぶれたか」と切実に思う。フジテレビは先月31日に「試合が予定時間より伸びても放送延長をしない」と発表した(YOMIURI ONLINE)ばかりなのに、いきなりこれである。

 ゴールデンタイムから深夜枠への格下げという今回の処置を見ると、落ち目になってきた頃のプロレス中継を思い出す。週に何本かあったゴールデンタイムのプロレス中継は人気の低下に伴って他のジャンルの番組に乗っ取られて深夜枠に移り、大した注目を浴びることもなくひっそりと終わっていったものだ。

 もっとも、プロ野球人気そのものが落ちてきているとはおれは思わない。どの局も「巨人戦なら視聴率が稼げる」という安易な思考のツケが回ってきただけなのではなかろうか。どういうシステムで放送スケジュールが割り振られているのかは知らないのだが、いい加減「うちの局はヤクルト戦中心に中継します」みたいな在京キー局があってもいいのではないかと思う(フジ系列がこの例に近いのだが。親会社だった時期もあったし)。

 今季はいかなるテコ入れをしても視聴率を挽回することはできないだろうが、来季どうなるかでプロ野球人気が本当に落ちてきているかどうかが分かってくるのではなかろうか。巨人が強いか弱いかは抜きにして。

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五十歩百歩

 夏の高校野球は南北海道代表の駒大苫小牧高校の優勝に終わり、深紅の優勝旗は2年連続で津軽海峡を渡ることとなった。夏の大会連覇は57年ぶりのことであり、現在の49代表制になってからは初めてという快挙である。いやあよくやった駒大苫小牧、よかったよかった、なんて思っていたらasahi.comにこんな記事

 第87回全国高校野球選手権大会(朝日新聞社、日本高校野球連盟主催)で連覇を果たした駒大苫小牧高校(南北海道)が22日夜、苫小牧市内の同校で会見を開き、野球部部長(27)が、2度にわたって部員に暴力をふるっていたとして22日から謹慎処分にしたと発表した。処分期間は未定。

 会見した篠原勝昌校長によると、3年生の部員の保護者から8月8日に「子どもが暴力をふるわれた」と学校に通報があった。翌日に同部長に確認したところ、6月2日に素手で数回、8月7日にスリッパで頭をたたいたと認めたという。この部員は甲子園では登録外で、ベンチ入りしていなかった。

 この野球部部長を擁護するわけではないが、記事を読む限りでは、ありがちな「体育会系熱血教師の行きすぎた指導」という印象を受ける。建て前はともかく、実際には体育系の部活であればどこでもやっていることではないのか、とも思う。部活に限らず、以前――少なくともおれが中高校生くらいの頃――は、先生に平手打ちを食らうなんてことはざらにあることだった。いつの間にか保護者側がこうした問題に過剰に反応するようになってきたのではないか、という気がする。

 大会前の明徳義塾の件もそうだったが、大会主催者という立場があるせいか、朝日の取材はこういった不祥事に関する取材が甘い印象がある(週刊新潮で明徳義塾の出場辞退に至る事情を扱った記事を読んだら、事件に対する印象が随分変わったように思う)。今回問題となっている野球部部長がどういう状況で部員に暴力をふるったのか、いかなる経緯で事態が表面化するに至ったのか、という点は記事にない。

 いずれにせよ、臭いものにはフタをしておきたいという体質はどこの学校も似たり寄ったりだということはよく分かった。せっかくの優勝も、これではつや消しもいいところである。

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延長は誰のために

 野球中継が当然のように延長されるようになったのはいつ頃からなのだろう。おれが小学生くらいの頃は、中継が始まるのが7時30分からで、試合展開に関係なく9時前には終わっていた。ごくまれに、アナウンサーが「スポンサーのご厚意により」と断って中継が延長されることがあったが、そんなに頻繁には延長ということはなかったと記憶している。それがいつの間にか7時からの中継開始が当たり前になり、30分程度の放送延長は当たり前になった(NHKは例外なく試合終了まで放送するが)。それだけプロ野球中継は視聴率が稼げるおいしいコンテンツだったのだろう。

 ところが今季は巨人の不振のせいなのか視聴率は低迷の一途をたどり、17日の中日×巨人戦ではついに今季最低の5%(関東地方)を記録した(裏番組にサッカー日本代表の試合があったことも一因ではあろうが)。民放各局では延長時間が最大30分から15分に短縮されるという異例の事態となっている。「そんな半端な時間延長するくらいなら延長なんてするな」と思うのだが。

 そこへいくと日本テレビ系列は往生際が悪いとでも言うべきなのか、「試合展開により9時24分まで延長」などと新聞のテレビ欄に記載されている。要するに8時45分くらいの時点で大量の点差が付いていれば延長はやらないよ、という意味であろう。

 そのテレビ欄の記載はウソであることが19日の巨人×広島戦で発覚してしまった。試合は2-1で巨人が1点リードという接戦だったのだが、8回表が終わったところで中継は延長なしで終わったのである。試合展開なんて関係ないじゃないかasahi.comにある関係者の談話を読むとさらに情けなくなってくる。

 中継した日本テレビの関係者は「ペナントレースの動向と、現状では後の番組を楽しみにしている視聴者の声が大きい」。この3連戦での最下位転落を逃れる「貴重な1勝」だったが、異例の打ち切りに「つらい」と表情を曇らせた。

 つまるところ「試合がセ・リーグのビリ争いだから延長しませんでした」ということなのか。だったら最初からテレビ欄に「試合展開により―」なんて載せるなよ、紛らわしいから。

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明徳義塾の出場辞退に思うこと・その2

 明徳義塾の甲子園大会出場辞退について、その後の報道を見る限りでは、監督の「教育者としての資質」を疑わざるを得ない。asahi.comの記事にある、選手たちに出場辞退を告げたときの監督の発言からして問題だ。

 明徳義塾は4日、午前8時半からの兵庫県西宮市の津門中央公園での練習を1時間ほどで切り上げ、市内の宿舎に戻った。午前9時50分から、馬淵史郎監督が食堂に約30人の部員を集めて約10分のミーティングを開き、事情を説明した。馬淵監督は「お前らを守ろうとしたが残念だ。私は学校を辞めざるを得ない」などと伝えた。食堂からは選手らのすすり泣きが聞こえた。

 監督の言うところの「お前らを守」るとはどういうことを指すのか。要するに「なんとか揉み消そうとしました」ということではないのか。結果的には学校関係者の知らないところから事態が公のものになってしまい、余計にみっともない様を晒すことになったわけだが。

 4日に行われた記者会見での事態の経緯の説明を読んでいると、さらに頭が痛くなってくる。

 「本人らが自主的に申告したので情状酌量の余地がある。集団喫煙でもないし、好奇心で吸っただけだった」。学校では1回目の喫煙は1週間の謹慎。「それなら部内で預かろうと思った。その時報告しておけば、こんな問題にならなかった」。報告の遅れが最悪の結果を招いたことを認めた。

 集団喫煙でなかろうが、好奇心で吸っただけだろうが、これは未成年者喫煙禁止法第一条(「満二十年ニ至ラサル者ハ煙草ヲ喫スルコトヲ得ス」。1900年4月1日施行)に抵触するれっきとした違法行為である。ただでさえ未成年者の喫煙と飲酒が軽視される傾向があるというのに、ここで毅然とした対応を取らなかった(あるいは取れなかった)監督の姿勢は問題だ。

 さらに暴行事件の事実を知った監督は、地方大会の開会式終了後に被害に遭った生徒の実家を訪れて謝罪しているのだが――

 「土下座で謝った。何とか丸く収めて3年生を試合に出させてやりたかった」。保護者から「頑張ってください」と声をかけられ、許されたと思い、試合出場を決めたと明かした。

 「丸く収める」といえば聞こえはいいが、「暴行事件そのものを闇に葬る」と言い換えると印象は随分変わる。保護者からかけられた言葉を自分たちに都合のいいように解釈するあたりもいかがなものか。

 記者会見の部分の結びに、監督のこんなコメントがある。

 「注目されている学校と言ってはおこがましいが、選手には日本一を目指しているんだと言っている。精神的に強くなければいけない。でもそれが徹底できなかった」

 精神的に強くなければいけなかったのは選手だけではなく、あなたもではありませんか、監督。

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明徳義塾の出場辞退に思うこと

 昼のニュースを見ていたら、夏の高校野球高知県代表の明徳義塾が不祥事により出場を辞退することになったという。いや、「不祥事により」というより「不祥事の発覚により」というべきか。こうした事態が起きると、実際には学校側が辞退したのではなく、高野連側が「辞退ということにしてくれませんかねえ」と働きかけたのではないかと勘繰ってしまうのだが、本当のところはどうなのだろう。

 asahi.comの記事によれば、今回の不祥事とやらは暴力行為と喫煙だとか。それにしても気になるのは、記事の結びにあるこの部分。

 3日に匿名の情報提供があり、日本高野連が関係者を呼んで事情聴取を進めていた。明徳義塾は3日に行われた組み合わせ抽選で、大会5日目に日大三(西東京)との試合が決まっていた。

 この「匿名の情報提供者」に何らかの悪意があったであろうことは想像に難くない。わざわざ組み合わせ抽選会の当日に通報するあたりがなんともいやらしい。前出の記事によれば、暴力行為が学校内で発覚したのは先月の15日。地方大会の真っ直中前日で、決勝戦が行われたのは24日。この間、学校側は対外的には知らんぷりを決め込んでいたことになる。よほど甲子園出場に熱意があったものと見えるが、学校の関係者は道徳の時間に「嘘をついてはいけません」と教わらなかったのだろうか? いけませんなあ、教育者がそういうことをしていては。

 明徳義塾というと、2002年の全国大会制覇よりも、その10年前に当時石川県代表の星陵高校の4番打者であった松井秀喜を全打席敬遠して物議を醸したことの方が印象に残る。敬遠そのものはルール違反でもなんでもないし、松井が全打席で出塁したにも関わらず、それを勝利に結びつけられなかった星陵のチームが不甲斐なかったというのもあるだろう。しかし、高校野球は「スポーツ」である以前に「教育」ではないのか(当時の高野連会長のコメントにも「勝とうという意欲よりも、もっと大切なものがあるはずだ」とある)。「勝利のためには手段は選ばぬ」という姿勢が非難の対象になったのは当然の成り行きというものだ。

 今回の「開幕直前の出場辞退」という醜態は、そんな学校の勝利至上主義に対する強烈なしっぺ返しのように思えるのは思い過ごしというものだろうか。

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プロ野球プレーオフ考

 昨シーズン行われたパ・リーグのプレーオフにはなんか釈然としないものがあった。ペナントレースで135試合戦った段階で、ダイエー(当時)は2位に4.5ゲーム差を付けていた。それなのにプレーオフを制した2位の西武がパ・リーグの優勝チームとして日本シリーズに進んだ。これがもし3位だった日本ハムが優勝ということになっていたら、もっと釈然としなかったろう。

 そのプレーオフが、早ければ来シーズンからセ・リーグでも導入されるかも知れない(ZAKZAK)という。ただし、導入が検討されている方式は、現行のパ・リーグの方式とは違い、まだ納得のいくものである。

 セのプレーオフ実施は、7月4日のセ理事会で横浜が提案した。横浜案では、セとパを前後期制とし、それぞれ前後期の覇者に、それ以外のチームの中で通年最高勝率のチームを加えた計3チームでプレーオフを行い、最終的にリーグ王者となったチームが日本シリーズに進出するもの。

 なんでパ・リーグは最初からこの方式を採用しなかったのか、と言いたくなるような案である。かつてパ・リーグが導入していたプレーオフ制度に若干の修正を加えたものと言えるかも知れない。この方式であれば「あのペナントレースの135試合はなんだったんだ?」という疑問は多少なりとも解消されるはずである。

 先のZAKZAKの記事によると、パ・リーグが昨シーズンからのプレーオフ制度導入に当たっては、自称「球界の盟主」のバカオーナー(当時)が例によって暴言を吐いている。相変わらずの自己中心的発言ではあったものの、あのバカオーナーにしては珍しく正論に近いものではあったが。

 いずれにせよ「プレーオフ」と銘打つ以上は、同格の相手同士が対戦するものであるべきだと思う。現行のパ・リーグの制度では、場合によっては首位から10ゲーム以上離されていたチームがリーグ制覇をしてしまう可能性がある。それは同格とは言えないだろう。

 どうせセ・リーグもプレーオフ制度を導入するのであれば、パ・リーグも上記の横浜案を受け入れてみてはどうだろうか。ソフトバンクの王監督も「日本一を争うところに出る仕組みが、同じでないのはおかしい。セもパも同じにすべき」とコメントしていることだし。