アニメ業界の音楽事情というやつ

 BSで放映された『アニメギガ』を見た。ゲストは“燃える作曲家”・田中公平。番組の最後で「田中さんにとって、アニメとはなんですか?」という問いに対する答えが印象的だった。曰く――、

「子どもが子守唄の次に耳にするのがアニメ音楽。だからこそ本物を聞かせてあげたい」

 至言である。アニメの音楽に対して真摯に取り組む人でなければ、こんな言葉は出てこないだろう。

 逆にそんな人たちを取り巻く環境はどうなっているのか。四半世紀も前に山本正之が「アニメがなんだ」の歌詞で皮肉った「歌とドラマと ぜんぜん合ってない」状況は輪をかけてひどくなり、露骨なタイアップは大手を振ってまかり通っている。本編の音楽を担当する作曲家が知らないところで主題歌(とはもはや呼べない曲)作りが進行し、曲を提供する側も作品のことなどちっとも考えない曲をぬけぬけと提出し、そんな曲に制作サイドがOKを出す。……こんな環境下で「本物」が作れるのか?

 そんな状況で作られる楽曲であるからして、歌詞にしても「子どもが歌う」ことなんざ考えちゃいない。日本人には「英語=カッコいい」という傾向が顕著であるから、作詞者が「どーだい、カッコいいだろう!」という感覚で付けられた歌詞にはかなりの割合で英語が入っている。誰とは言わないが、「アニメのための曲作り」を大義名分に掲げている人でさえ、この呪縛から逃げられないでいる。……そこに「子どもも聞く曲」はあるのか?

 21世紀に入ってから作られたアニメソングの中で、どれほどの曲がいわゆるスタンダードナンバーにまで昇華されるのか、はなはだ疑問だ。「そんなのできっこねえ」というのが個人的見解である。

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二十世紀はバイバイ 何だかんだにサンキュー

 作詞家の阿久悠氏が亡くなった。享年71。

 つい先日NHKを見ていたら、半田健人がますだおかだに歌謡曲のうんちくを語る番組に「解説者」として出演していたのを見たばかりだったので、この訃報には驚いた。その番組での阿久氏は顔色も悪く、ずいぶんやつれた印象を受けたので「どこか悪いのでは?」とも思ってはいたのだが。

 阿久氏というと、1970年代の歌謡曲(このころはJ-POPなどというスカしたフレーズは存在しなかった)の作詞家を代表する人物であった。Wikipediaを見てみても綺羅星の如くヒット曲のタイトルが並んでいる。守備範囲は歌謡曲にとどまらず、およそ歌詞の付いている曲であれば、それこそ「適当に石を投げれば当たる」くらい数多くのジャンルの曲に詞を提供している(アニメソングや校歌なども)。その数は5000を越えるというから恐れ入る。

 で、訃報に触れるにあたってタイトルにはどの曲から歌詞を拝借するか悩んだ結果、大多数のアニメファンが挙げるであろう『ヤマト』は敢えてはずし、氏が手がけたアニメソングとしてはリストの終わりの方に記載されるであろう『はれときどきぶた』3代目のオープニング「BOO ~おなかが空くほど笑ってみたい~」から感謝の意を込めて引っ張ってみた。

 阿久さん、何だかんだにありがとうございました。ゆっくりお休みください。

8月2日追記:冒頭で触れた番組は5月に収録されたという記事(デイリースポーツ)を読んだ。体調の悪化はそのすぐ後であったようだ。

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遙か彼方の光にむけて

 作曲家でピアニストの羽田健太郎さんが2日に亡くなった。享年58。

 行年が早すぎることもさることながら、癌などというものと縁のなさそうな方だっただけに受けた衝撃は大きい(Wikipediaの記事によればだいぶ前から体調を崩しておられたようだが)。

 ハネケンさんといえば、すぎやまこういち氏御用達のピアニストでもあり、世界で初めて「ウィザードリィ」に音楽をつけた人でもある(アルバム「We Love Wizardry」収録の『地下迷宮』のアレンジは怖すぎ)。個人的には1992年9月に聞きに行った「オーケストラによるゲーム音楽コンサート2」ですぎやま氏と漫才さながらのMCを担当していた姿も忘れがたい。

 劇伴を担当されると、いささか大仰に(悪く言えばクサく)聞こえる曲を書く作曲家であった印象を受ける。アニメでは代表作と言えるであろう「マクロス」がそうであったし、中盤から参加した「ドラグナー」でもシリーズの最初から参加していた渡辺俊幸氏とは作風が異なるので、作中で流れると「ああ、これはハネケンさんの曲だな」と分かったものだった。だからといって不当に低く評価する気はないのだが。

 タイトルに引用した「マクロス」のエンディング曲『ランナー』は、ボーカルを担当した藤原誠氏の声とも相まって、しっとりとした名曲になった。作品としてはあまり好きではない「マクロス」だが、この曲は大好きだった。

 天国では晩年やめていたというお酒を楽しんでくださいね。謹んで哀悼の意を表します。

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ウルトラセブンとラフマニノフ

 「ウルトラセブン」の最終話『史上最大の侵略(後編)』で、ダンが自分の正体をアンヌに告げるシーンに使われているのがロベルト・シューマン作曲の「ピアノ協奏曲イ短調 作品54」の第1楽章であるのは、ファンの間では有名である(その後戦闘シーンでも使用)。しかし、この選曲は次善策として採用されたものだった。

 1983年刊行の「ファンタスティックコレクション No.29 ウルトラセブン SFヒーローのすばらしき世界」に寄稿した満田監督はこう語っている(明らかな誤字は引用者が訂正した)。

私の頭の中には、ダンがアンヌに「僕はウルトラセブンなんだ」と告白するシーンに絶対使いたいピアノのメロディがあった。ラフマニノフのピアノコンチェルトだ。ダビング(セリフや効果音、音楽等をミックする作業)の時に、音楽担当の冬木透にラフマニノフのピアノコンチェルトのレコードを持って来てもらって聞いた。違う! 私の頭の中にあるメロディとは全然違う。楽曲名を誤って憶えていたのだ。冬木透が別に持って来てくれたレコードから何かを選曲することにした。結局、シューマンのピアノコンチェルトになった。

 ……かくのような経緯をたどり、あのシーンに流れる曲にはシューマンのピアノ協奏曲が採用された。個人的な話になるが、この稿ではラフマニノフの名前が「ラフマニーフ」と誤記されていたため(この本は縦書きだった)、おれは長いことこの作曲家の名前を間違って記憶していた。朝日ソノラマも罪なことをしたものである。多感な時期にこの本に触れたおかげで、セブンとシューマンとラフマニノフは三点セットで頭の中に刻印されてしまった。日頃クラシックを聴く機会はほとんどないが、ラフマニノフの名前を聞くと「本当はあのシーンに流れるはずだったのはこの曲だったのかな?」と思うようになった。

 昨夜放映された「のだめカンタービレ」で流れた「ピアノ協奏曲第2番ハ短調 作品18」を聞いて、またも「ひょっとしてこれだったのか?」との思いに囚われた。ラフマニノフが作ったピアノ協奏曲は全部で5曲だから、満田監督が作曲者の名前を間違えて憶えていない限りはこの中のどれかということになる。冬木氏がその時に持参したレコードはそのすべてを網羅していなかったのだろうか? あの最終回の放映から40年弱、真相は闇の中である。

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レッドショルダーのマーチ、発掘さる

 つい一週間前にはメイド喫茶との妙なコラボレーションが発表されて一騒ぎあったボトムズファンの間に、更なる激震が走った。本放送以来の謎だった、ファンの間で「レッドショルダーのマーチ」と呼ばれる曲を収録したアルバムが発見されたのである。

 騒ぎの発端はサントラ盤に肝心の曲はいってねえスレの次のレスがボトムズのスレッドにも投下されたことによる。

145 :名無しのテーマ:2007/02/07(水) 03:54:09 ID:ANb9u4n2
レッドショルダーマーチと似ている曲を発見
イタリア映画のDue Marines e un GeneraleのサントラにArrivano I Marinesという曲があるので
チェック!
ItuneStoreで買えます。

 「Due Marines e un Generale」は邦題を「二人の水兵と一人の将軍」といい、くだんの曲はこのサイト(2曲目が『Arrivano I Marines』)でちょこっと試聴できるのだが、これがズバリそのまま「レッドショルダーのマーチ」だったことから騒ぎは一気に沸点まで加熱することとなった。収録されているアルバムのAmazonでの売れ行きは鰻登り(それにしても最初にレビューを書いた奴のコメントはあまりにも痛い)、iTMSでもこの曲だけが大人気というから、いかにボトムズファンがこの曲を聴きたがっていたのかうかがい知れる。

 それにしても、どういう経過からこの曲が発見されるに至ったのか、そこが気になって仕方がない。一大捜査網が展開された結果、とは到底思えないのだが。大方「道端の石ころを蹴飛ばしたらたまたま当たっちゃった」みたいな感じなのだろう。

 このサントラの発見に伴って発掘された曲がもう一曲。

150 :名無しのテーマ:2007/02/09(金) 00:38:25 ID:2TRKsvpg
おいおい、6曲目のL'offensiva Di Primaveraって
ガンダムのギレンの演説のときにかかる曲じゃん!すげえ!!


151 :名無しのテーマ:2007/02/09(金) 01:37:55 ID:xSR2UlQB
>>145
まずはGJ!
なるほど、こりゃ収録されないわけだ
しかしこの曲、昔バンダイが特撮ソフビのCMで使ってなかったかな・・・?

>>150
ほ、ほんとだ
劇場版と同じような曲が使われていたように記憶してたんだが、
総音楽集に収録されてなくて何故なんだろうと思ってたら・・・

 どうやらグラス片手に聞きながら「坊やだからさ」とつぶやくのも一興らしい。

3月7日追記:このトピックを投稿した夜に注文して1ヶ月弱、ようやくCDが手元に到着。ケースの下部をかなりガッチリしたシールが封緘していて、フタを開けるのに難儀した。これは向こうの仕様なのだろうか?

3月11日追記:記事を投稿してひと月あまりが経過して騒ぎも沈静化したら、Amazonでの価格はおれが購入したときの半値近くまで下がっていた。何があったのだろう。

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何年ぶりだ?の生ブラス

 ひさしぶりに音楽の生演奏を聴いてきた。聴いたのは日立市民吹奏楽団の演奏である。かと言って演奏に知人が参加したわけではない。ゲストプレイヤーとしてエリック・ミヤシロが参加し、プログラムにはあの「スタートレックのテーマ」が入っていたのである。これで入場料が600円(当日)というのだからお値打ちである。

 演奏されたのは次の通り。

第1部(指揮:原進)

 1. ディズニー・ファンティリュージョン!
 2. そりすべり
 3. ママがサンタにキスをした
 4. 私のお気に入り
 5. クリスマス・キャロル・ファンタジー

第2部(指揮:岩井直溥)

 1. Shall we dance?
 2. ロッキーのテーマ
 3. Misty
 4. More
 5. スタートレックのテーマ
 6. アメリカングラフィティXVI

 Enc1. 翳りゆく部屋
 Enc2. White Christmas

 第1部は時節柄クリスマスにちなんだナンバー、第2部ではポップス中心の構成。第2部で指揮を担当した岩井氏は吹奏楽界の大御所であるそうだが、MCでのギャグはかなり滑っていた。

 お目当てであるミヤシロ氏は第2部からの登場であった。おなじみの「ロッキーのテーマ」で華々しく登場、続く「Misty」では「いつまで続くんだ?」と思わせるロングトーン(鼻から息を吸いながら吹くそうだ)で会場を沸かせた。そしておれの足を会場に運ばせた「スタートレックのテーマ」では、今年亡くなったメイナード・ファーガソンばりのハイトーンを披露してくれた。この曲はオリジナルの演奏に忠実なアレンジがなされており、途中に入るフルートのソロパートまでが再現されていた(ソリストにはただ拍手あるのみ)。

 料金分以上に楽しませてもらっただけに、終演後ロビーに出てきていた楽団の人たちには、思わず目が合うたびに「お疲れ様でした」と声をかけてしまっていた。

 ふと「生で音楽を聴いたのはいつ以来だろう?」と思い返してみたら、8年前のT-SQUAREのライブまで遡ることに気付いて愕然とした。ミヤシロ氏のトランペット(ホーンセクションの1人として参加していた)を聴いたのはさらにその3年前、純粋にブラスバンドの演奏となるといよいよ記憶に残っていないくらい昔になる。かつては「年に一度は生演奏を」という時期もあったんだがなあ。

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光の国に祈りをこめて

 今年はウルトラマンシリーズ誕生40周年だというのに、そのシリーズ最初の作品の立ち上げに尽力した人たちが相次いでこの世を去った。今朝方には実相寺昭雄監督(29日深夜没)の訃報が流れ、夜には音楽を担当した宮内國郎氏(27日没)の訃報が。同じ日にこうした事態に接することがなかったせいか、正直どうコメントしていいものやら分からない。

 実相寺監督は、ファンの間から「実相寺アングル」と呼ばれるほどの極端なアップ(普通は毛穴が写るほど寄ったりしない)やカメラと人物の間にものを入れる撮影方法、独特の照明の使い方などで知られる。
 本来子供がメインターゲットであるはずのウルトラシリーズでも堂々と自分の個性を押し出した作品を撮る監督で、「ウルトラセブン」の『第四惑星の悪夢』(第43話)や『円盤が来た』(第45話)は、あまりのシュールな作りに子供の頃はどこが面白いのかさっぱり分からなかった。後年製作された「ウルトラマンティガ」で監督した『花』(第37話)でも独特の個性は健在で、正直「これ、監督の名前を知らずに見ている人も楽しんでるのかな?」と思ったものである。
 今年の2月に他界した脚本家の佐々木守氏と組んでは、ちょっと斜に構えたような雰囲気を醸す作品群(劇場公開された「実相寺昭雄監督作品ウルトラマン」を見れば一目瞭然だ)を数多く遺した監督であるが、一番脂がのっていたのはやはり「怪奇大作戦」ではなかっただろうか。「今夜は追悼の意をこめて『京都買います』を見る」という実相寺ファンが多数いることと思う。

 とかく「ウルトラシリーズの音楽」というと、ワンダバコーラスで有名な冬木透氏の名前が挙がりがちであるが、「ウルトラQ」と「ウルトラマン」でジャズに根ざした劇伴を手がけた宮内氏の名前も忘れてはならないだろう。しかしながら、手元にある宮内氏の音楽がオムニバスに収録された主題歌と挿入歌の類しかないというのは、故人に対する礼を欠いてしまっているようにも思う。耳にする頻度の差もあってか、宮内氏の名前を聞いて真っ先に連想したのが「ウルトラファイト」の本編BGMだったりするのも我ながらいかがなものか。
 宮内氏が生前手がけた作品の中では、ウルトラ以外に映画「ガス人間第一号」(1960年公開)がある。ある意味のちの「ウルトラQ」にも通じるであろう作品で、傑作の呼び声も高い。訃報を知って見たい衝動に駆られたのが「ウルトラQ」でも「ウルトラマン」でもなく、この映画だったのはなんだか不思議だ。

 初代ウルトラマンが誕生して40年、当時製作に情熱を傾けていた人たちもずいぶん“光の国の住人”になってしまった。いずれ誰もがそうなるのだが、2人も相次いで旅立たれてしまうのはやはり一ファンとしては寂しい限りだ。

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トランペット吹きの訃報

 メイナード・ファーガソンというトランペッターの名前を知らない人も、「ウルトラクイズ」のテーマ曲として使用された「Theme From Star Trek」ならピンとくるのではないだろうか(曲の終わりには同じくファーガソンの曲である「チシャ猫のウォーク」が編集でつながれているが)。また、「高校生クイズ」のテーマ曲として「Hollywood」が使われているし、映画「ロッキー」のテーマ曲「Gonna Fly Now」はさらに有名なところである。

 そのファーガソンの訃報を知ることになったのは、今日当ブログを訪れた人の検索キーワード「メイナード・ファーガソン 訃報」からであった。驚いてWikipedia経由で公式サイト(英語)を見てみると「LEGENDARY MUSICIAN MAYNARD FERGUSON DIES」の一文があった。享年78。来月には日本でツアーを行う予定であったという。

 おれは1988年に行われた日本ツアーの最終公演で、ファーガソンの演奏を生で聴いている。「予習」もなしに聞きに行ってしまったこともあって、どんな曲を演奏したかはほとんど憶えていないのだが、当時60歳とは思えないくらいパワフルなハイトーン(とにかく高い音が出せるのがファーガソンの特徴)は印象に残っている。バンドの編成の関係もあって、生で聞きたかった「Theme From Star Trek」が演奏されなかったのは正直残念だったが。

 これを書くに当たって、当時買ったアルバムをひさしぶりにBGMとして聞いている。演奏者がこの世を去っても、さまざまな媒体を介して演奏は後世に語り継がれる――そう信じたい。

8月26日追記Sankei Webに訃報が掲載されていたが、見出しがいけない。『映画「ロッキー」のテーマ作曲 メイナード・ファーガソン氏死去』。「Gonna Fly Now」を作曲したのはファーガソンではない。ちょっと調べれば分かることを、なぜしないのだ?

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PCでの音楽再生状況

 あらかじめお断りしておくと、この記事はごく一部の方々へのエクスキューズである。「おれの音楽の好みってこんな感じに偏ってるの」という、一種の弁解と言い換えてもいい。下の画像は、この記事を書いている時点での「Winampでもっとも再生された曲リスト」である。

Winampのメディアライブラリより

 改めてこうして見てみると、ヘビーローテーションで聴いている曲はけして多くない。最多の「GUN×SWORD」の突出の仕方が異常にすら見える。この画面には24曲が挙がっているが、アニメ・特撮に関係する曲は半分以下の11曲、しかもそのうち4曲は歌詞のないものである。その手の曲を聞くのはむしろMP3プレイヤーであり、ブログを書くBGMとしてPC上で再生することは少ない。やはりボーカルが入ってるとついつい歌ってしまうのである。ボーカル物は歌詞に気を取られてしまい、思考の方がお留守になってしまうのでBGMにはあまり向いていない(そのくせ『MOTOR MAN 京浜急行VVVF』が入っているのが意外と言えば意外)。

 それではMP3プレイヤーで聞いている曲の傾向はあるのか、ということになるが、あいにくと使っているプレイヤーがiPodではないので、具体的に「どの曲を何回くらい聞いているか」は把握できない。仮にそれが分かったとしても、再生はほとんどランダムなので、あまり参考にはならないであろうが。

 以前テレビで「1人イントロクイズの達人」という人が紹介されていたが、クイズに強くなるのはそうした「広く浅く」知識を集める人であろう。おれのように「妙に偏った分野に濃い」人間は、この手のクイズではそれほど強くはなれない。時折とんでもないボールをホームランにしてしまうから「勇者」などと呼ばれてしまったりするのだろう、というのが自己分析の結論である。

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職人ベーシストの訃報

 去る6月12日にベーシストの青木智仁氏が亡くなった。享年49。

 青木氏の名前にピンと来る人はジャズやフュージョンをよく聴く人であろう。他のジャンルの音楽を聴く人は、おそらく「誰がベースを弾いているか」なんてことはほとんど気にしないであろうし、青木氏のプレイスタイルも、あまり前面に出ての「おれがおれが」というものではなかった。むしろメインの楽器を立てるような、脇役に徹する演奏であった。こういう表現が適切かどうかは分からないが、「職人気質のベーシスト」であったと思う。

 そういったところに引かれるのか起用するミュージシャンも少なくなく、活動は多岐にわたった(ファンサイト「ベースの王様」を参照のこと)。おれ個人は生の演奏を聴く機会自体が少ないこともあって、生前に青木氏のプレイを目の当たりにすることはとうとうなかった。つくづく残念でならない。

 急性心不全で世を去ったのが49回目の誕生日だったというのは何の因果なのやら……。いずれにしても世を去るには早すぎる年齢ではある。自分のような職人ベーシストを育ててほしかったと思わずにはいられない。願わくば、1人でも多くのプロベーシスト志望者が青木氏を心の師と仰いでもらいたい。

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BSのアニソン特番

 去る5月3日にNHKはFMで丸半日を費やして「ヲタな人たち」の相手をしたのであるが、今度はBSでの公開放送である。曲目と出演者はこちらにあるので、ここでは改めて言及しない。選曲からして、はっきり言って現在進行形の「よい子のみんな」は置いてけぼりで、「かつてよい子だったかもしれない人たち」か、この手の曲のファン以外で楽しめた人がどのくらいいたか、はなはだ疑問である。

 この種の番組が企画されて放送されるときには、お約束のように「オリジナルの歌手が歌います」という文言が持ち出されるが、これも場合によりけりだなあ、と他のチャンネルに浮気しながら見て思った。「スーパーロボット大戦」シリーズの人気があるおかげでこの種のイベントに担ぎ出される回数が多い人と、そうでない人の差が残酷なほど露呈してしまっていた。中には相次ぐイベントですっかり擦り切れているように思えた人もいたが、具体的に名前は挙げない。

 「懐かしのアニメソング」のたぐいのイベントで頻繁にお呼びがかかる人は、年を取っていても声に張りがあったり、往年の体形を維持していたりするが、そうでない人の場合、聞くのが苦痛に感じるほど声が劣化していたり、はたまた往時のファンが見たら幻滅するような体形に変容していたりする(これも具体的な名前を挙げるのはやめておく)。こういうのを見聞きしてしまったアニメの方のファン(歌手のファンでなく)はどう思ったやら。

 マイナス面ばかりを挙げてしまったが、思わず「おおっ!」と唸ってしまったのは前川陽子(敬称略)であった。さすがに30年前とまったく同じとはいかないものの、「魔女っ子メグちゃん」や「キューティーハニー」(後者はメドレーに内包)での実年齢を感じさせない色気のある歌いっぷりには「おそれいりました」とひれ伏すしかない。

 それにしても、昨年末の「紅白」で舞台上に響鬼を出してしまったのと同じような演出をまたやってしまうあたりは悲しいくらいにNHKだなあ。

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「今日は一日『アニソン』三昧」にいらつく

ご注意:この記事は2006年に書かれたものであり、それ以降については言及していません。書かれているのは2006年に放送されたものに対するグチだけであることをご了承ください。

 なにをとち狂ったか、NHK-FMが約13時間(合間にニュース等の時間を含む)に及ぶアニメソングのリクエスト番組を放送している。しかし、「餅は餅屋」というように、慣れないことというものはあまりするものではない。「青春ラジメニア」のリスナーがこの番組を聞いたら、こう思ったに違いない―

「関西から嘉門達夫を呼ぶくらいやったら、なんで岩ちゃん呼ばへんねん?」と(関西弁テキトーだけど、間違ってても怒らないでね)。

 アニメソングというのは、音楽ジャンルの中でもかなり特異なものであるし、愛好者同士でないと通用しないような符丁も多い。案の定、まるっきり畑違いのジャンルの番組を任されたNHK有働アナウンサーの進行は見事なまでにグダグダである。岩ちゃん(「青春ラジメニア」のメインパーソナリティー、岩崎和夫氏)が進行していれば、少なくとも「クリィミーマミ」のタイトル名程度でかむようなことはなかったのではあるまいか。ことアニメソングに関しては、関連番組を20年以上やっている関係で新旧取り混ぜて詳しいし(嗜好的には少々古いものに傾くが)。

 他にも「翔べ!ガンダム」では別人のカバーバージョンを平気で流してフォローしなかったり、「CAT'S EYE」は杏里のセルフカバーの方を流したり、とリクエストしたリスナーの心情を忖度しないスタッフ側のポカも大いに気になった。

 つまるところ、この種の番組の作りに、思考回路が妙なベクトルで固定されてしまったおれが耐えられないだけの話ではある(実際、第1部終了の時点で番組に付いていくのは放棄した)。聞きたい曲はおおむね手元にあるわけだし。やはり音楽というものは、聞きたいものを聞きたいときに聞きたいように聞くのが精神衛生上はいいとつくづく思う。

 スタッフの皆様、もしまたこんな企画をやることがあったら、もうちょっとお勉強してください。たぶんおれは聞かないと思うけど。

2007年3月11日追記:性懲りもなく今年も4月30日にこの企画をやるらしい。たぶん聞かないけど。

2007年5月1日追記:これだけしつこく「聞かない」と連発したのに、かなり長時間付き合ってしまった。今年の放送分に関しては人様のブログのコメント欄でグチりまくったので、ここには書かない。それにしてもNHK、学習しないなあ。

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さらば地球よ

 日本中がワールド・ベースボール・クラシック優勝に沸き立つニュースに隠れて、作曲家の宮川泰氏の訃報をテレビで知った。享年75。

 宮川氏と言うと、おれたちの世代にとっては「宇宙戦艦ヤマト」の音楽が思い浮かぶ(今RSSリーダーのチェックをかけたらgmaxさんがほとんど同じタイトルで記事を書いてた…。きっと他にもいるんだろうな)が、個人的には「スーパージョッキー」の映画コーナーでビートたけし相手に軽妙なトーンでおしゃべりをしていた姿も印象的だった。実際仕事場でもお茶目な人であったようで、「じゃ、ピアノ頭からいきまーす(曲の最初から演奏する、の意)」と言って鍵盤に頭を突っ込んだというエピソードをご子息の彬良氏がしていた。

 また、宮川氏はザ・ピーナッツとの縁が深いことでも知られる。「恋のバカンス」の作曲が有名であるが、「恋のフーガ」では作曲したすぎやまこういち氏が「え、そんなイントロになったの?」と思わず唸ってしまうようなイントロを付けている。一般的にはあまり知られていないと思うが、1964年公開の「三大怪獣地球最大の決戦」でザ・ピーナッツ(小美人)が歌った「幸せを呼ぼう」は宮川氏の作曲である。

 西暦2006年、宮川泰は永遠の航海に旅立っていった。

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ゴジラは死なず

 「寝る前にもう1回2ちゃんの巡回でも…」と思って更新チェックをしたら飛び込んできたのが伊福部昭御大の訃報(asahi.com)であった。享年91、大往生と言うべきであろう。

 ゴジラシリーズでは第1作(1954年)から『メカゴジラの逆襲』(1975年)まで断続的に担当し(それ以外にも特撮映画の音楽を多数担当)、『ゴジラVSキングギドラ』(1991年)で再登板した。『ゴジラVSデストロイア』(1995年)の音楽を担当したときに「体力的に映画音楽の仕事はもうできない」とコメントしておられたが、この映画の音楽録音で自らタクトを振っていた時点で81歳である。伊福部氏の映画音楽にかけていた情熱たるや計り知れない。

 伊福部氏を語る上で特撮映画の劇伴音楽は切っても切れないのだが、そのエッセンスが凝縮されているのが「SF交響ファンタジー」であろう。おれは1983年に日比谷公会堂でライブ録音されたものをCDで持っているが、「ゴジラの脅威」のモチーフで始まって、『ゴジラ』メインタイトル、「巨大なる魔神」モチーフへとつながる第1番の出だしと、『地球防衛軍』のテーマがテンポアップしながら盛り上がっていく第3番のクロージングはひたすら圧巻である。生演奏に立ち会えた人たちがうらやましい。

 トピックタイトルの「ゴジラは死なず」は『ゴジラVSキングギドラ』のローリングタイトルの曲に付けられたタイトルであるが、このタイトル同様、伊福部メロディーも不滅である。先生、今まで素晴らしい曲を聞かせてくださってありがとうございました。安らかにおやすみください。

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男はワンダバ

 伊福部昭の音楽をあらかたネタにしつくした感じの不気味社が次に手がけたのは、円谷テレビ特撮音楽の巨匠・冬木透であった。伊福部昭は「ゴジラのテーマ」くらいしか知らない人でも、冬木透が音楽を担当した作品は、古くは「ウルトラセブン」から近作では「ウルトラマンコスモス」まであるから、どこかの世代で引っかかるはずである。

 そんなこんなで、昨年夏の「全日本おたくの祭典」で販売された「豪快なワンダバ」は、「ワンダバ」の知名度ゆえかあっという間に完売したそうである。そりゃあ、ある程度ファン層が限定される映画特撮の音楽と、広範囲な認知度のあるテレビ特撮の音楽では売れ行きも変わってくるだろう。

 その「豪快なワンダバ」が昨年末に再販された(ご丁寧にジャケットには小さく『帰ってきた』の文字が入っている)。今回は頒布元からメールで再販のお知らせを頂戴したので(ありがとうございます)、早速通販の申し込みをした次第である。

 元が男声コーラスのものが中心であるから、原曲に忠実にアカペラで再現しても一向に違和感がない。知らん顔してそのままBGMで流しても気付かれないのではないかと思うほどの再現度である。そこが「不気味社的には物足りない」と思う向きもおられるだろうが、これはこれでありだろう。もちろん笑うところがないわけではない。これから聞く人もいるであろうから具体的には触れないが「繰り返しはギャグの基本」とだけ言及しておく。

 それにしても「朝日に向ってジャンボフェニックス」はやっぱりかっこいいなあ。再認識。

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「紅白」にまつわるいくつかの話

 昨年のNHKはやたらと「紅白歌合戦」に気合を入れていた。夏の暑い時季から「もう暮れの話をするのか?」という「スキウタ」なる人気投票を実施し、司会にみのもんたを起用して話題性を強調し、そして放映が間近に迫るとあちらこちらで紅白紅白紅白とうんざりするほど連発しまくった。

 放映前日の30日には「紅白歌合戦はこう変わる」と題した番組が放送されたが、出演者が座ったテーブルの前には放映開始までを秒刻みでカウントダウンする無意味きわまりない電光掲示板がセットされていて、おれの無用な反感を煽った。通して見たわけではないが、番組内容が「ボクたちこんなに苦労して番組作ってるんです、だから見て下さあい」というものだっただけに、「こんな番組に貴重な受信料を使うくらいなら( ここにはあなたの意見を適宜はめ込んでお読み下さい )」と思った視聴者もいたのではなかろうか。

 放送当日の大晦日。スポーツ紙の芸能担当記者という人たちはよっぽどネタがないのかそれともヒマなのか、日刊スポーツサイトの芸能には紅白関連の見出しが18も並んだ。その18項目のうち二つは山本耕史の言い間違えネタである(見出しが異なるだけで内容は同じ)。こういう場所で迂闊な言い間違えをすると後々まで残るだけに、司会者にかかるプレッシャーたるや計り知れない。

 そうして悲喜こもごもあった2005年の紅白は視聴者にどう受け入れられたのか。nikkansports.comの記事を引用すると――

 昨年大みそかのNHK総合テレビ第56回紅白歌合戦の平均視聴率は、関東地区で第1部が35・4%、第2部が42・9%で、いずれも前年より上昇したことが2日、調査会社ビデオリサーチの集計で分かった。

 7時20分から9時25分が第1部、5分間のニュースによる中断を挟んで以降が第2部である。前年比では第1部が4.6ポイント、第2部が3.6ポイントの増加となった。しかし、事前の大騒ぎの割に「最低の視聴率を記録した前年よりはマシだった」という結果を見る限りでは「大山鳴動して鼠一匹」という形容がぴったりのような気がする。

 それから、以前さんざんくさした「スキウタ」についてもやはり触れておきたい。

 大々的なアンケートを実施する場合、どのような形態を取るにせよ組織票によって票が操作されることは避けられない。プロ野球オールスターゲームのファン投票しかり、アメリカTIME誌のパーソン・オブ・ザ・イヤーしかりである。スキウタの場合、投票方法によって1人が票を投じられる曲数が異なる上に期間も異なるという、はっきり言って滅茶苦茶な方法が採られている。そのへんの滅茶苦茶ぶりは当のNHKも認識していたようだ

今回は、一人でも多くのみなさんのご意見をうかがうため、四つの投票方法でアンケートを行いました。ただ、お一人でも複数投票が可能だった「投票ハガキ」と、一人一票を原則としてシステムを作った「電子系投票」とでは、もともと投票ルールが異なり、投票期間もまちまちで、その結果として、同じスキウタでも四つの投票方法ごとに大きく異なる結果が出ました。

 そんなことも事前に予測できなかったのか、とツッコミのひとつも入れたくなる文言である。で、それを受けてのNHKの集計方法はこうだった。

「投票ハガキ」の票数による順位と、パソコンの順位携帯の順位データ放送の順位の平均を求めます。この平均値の少ない方を上位として、改めて全曲を並べなおしたものが、紅・白 上位100曲です。

 得票数ではなく順位の平均を求めるというあたりには首をかしげてしまう。よくよく偏った結果(あるいはNHK側にとって不本意な結果)が出たのだろう。集計方法もかなりアレだが、全12482曲のリストを見ると、部分的に眺めているだけでも頭が痛くなってくる。あのねえ、好きな曲なのにそのタイトルやアーティスト名を間違えるのって、それってファンとしてどうなの?

 年が明けて早々に年末の話をするのも何だが、視聴率の低下傾向は2004年の紅白で底を打ったのか、たまたま2005年の放送だけが上向いたのかは、さらに何回かの放送結果を見てみないと判断はできない。ただ、スキウタはそう何度も使える手法ではないし、実施するならするで投票方法をきっちり整備する必要があるのは間違いないだろう。そのための授業料としてはかなり高く付いたとは思うが。

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「せーの」じゃないのか…

 このトピック、「音楽」のカテゴリに分類しちゃっていいのかな…まあいいか、一応曲も入ってるし。15日に「ガン×ソード バラエティアルバム『いつだって波乱ヴァン丈』」が手元に届いた。第17話は相当はっちゃけていたし、同じ谷口悟朗監督の「プラネテス」のドラマCDも相当にはっちゃけていたので、かなり期待値を高目に設定して再生したのだが、どうも高目すぎたようだ、というのが正直な感想である。

 最初のトラックで「思いつきレベル強」と言い切っちゃっているのが言い得て妙と言えるかもしれない。でもネタがさぶいのを再生環境のせいにしちゃあいけませんぜ。全体的に笑いを取るネタがパロディに寄りかかり気味なのがどうにも気になった。笑いを取るのは泣きを誘うよりも難しいのは承知しているつもりなのだが。

 もうひとつ気になったのは、「このアルバム、『せーの』で録ってないな」と分かってしまうこと。最後に入っている出演者コメントを聞けば、悲しいかなそのあたりが一発で分かってしまう。出演者を一堂に集めて「せーの」で録れば、自称「じゅうななさい」の女性声優の発言にツッコミが入らないわけがない(その「じゅうななさいです」すらないのであるが…)。

 「せーの」で録っていないのは、ある意味このアルバムの目玉であろう「S・O・S」も同様なのがまた寂しい。最初にTVで聞いたときには、てっきり「自称じゅうななさいのヒト」が音頭を取って振りまで付けて歌っていたのではないかと思ったのだが、大人の事情というやつは非情である。

 これは推測であるが、このアルバムは企画自体が第17話のエンディングをCDに収録するために立案されたのではなかろうか。

  1. はっちゃけた勢いで、エンディングで「S・O・S」のカバーをやってしまった。
  2. 「この曲はサントラに入らないんですか?」の類の質問が製作サイドに殺到するのではないか。
  3. しかしサントラに収録すると、間違いなくアルバム全体のバランスをぶち壊してしまう。
  4. だったらウケ狙いのドラマCDを作って、それに収録すればいいじゃないか。
  5. そうだそうだ、それがいい。

 ……などという製作過程を想像してしまったのだが、まるっきりハズレということもないと思う(ドラマCDの企画の方が先だったかもしれないが)。

 いずれにせよこのアルバムでいちばん笑えたのは、CDの内容よりも一発ウケ狙いの初回封入特典であった。これのインパクトは、店頭で手に取るより通販等で梱包されている方が有効だろうな。

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アニメソングのリアレンジに関する一考察

 既存のアニメソングをリアレンジしての再利用というパターンが増えている。狩人さんのトピックにもあるが、ここ数年に限っても、これだけのものが再度の映像化に際してアレンジを変えて使われている(これでもすべてではない)。狩人さんのトピックに挙がっている中で一番再利用されているのは「キューティーハニー」であろうと思われる。これまで4度アニメ化されているが、ここまで徹底して同じ詞と曲(作詞:クロード・Q、作曲:渡辺岳夫)が使われている例はないのではなかろうか。いい機会なので、順を追って聞き比べてみよう(文中敬称略)。

 まずオリジナルに当たる1973年放映の「キューティーハニー」。編曲は小谷充、ボーカルは前川陽子。当時のアニメソングの作りとしては特に奇をてらった作りはしていない。むしろ特筆すべきはボーカルで、わずか2分強という短い演奏時間内で「かっこよさ」と「色っぽさ」がめまぐるしく入れ替わり、それでいて不自然さをまったく感じさせない(同様のことはは翌年放映の「魔女っ子メグちゃん」にも言える)。ちなみにハニー役は増山江威子。

 時代はずっと下って、次に製作されたのは1994年にOVAで発売された「新キューティーハニー」。編曲とボーカルはles 5-4-3-2-1(これ、なんと読むのだろう?)。イントロでのおなじみのフレーズにギターを使用していたりと、アレンジはロック寄り。間奏のギターソロがなんか不思議。構成上3番をカットして、1番のサビを繰り返して曲は終わる。曲の終りに入る、いかにも「サンプリングしてみました」な「かわるわよ!」のリフレインは少々くどい。翌年発表された第2期シリーズでは歌詞が英語になり、アレンジも変更されたものが使用されている。ハニー役は根谷美智子。

 1997年には、ロングヒットとなった「美少女戦士セーラームーン」シリーズの後番組として「キューティーハニーF」が放映された。Fは「フラッシュ」と読むが、間違ってもゼーバーなんて武器は使わない(当たり前だ)。編曲は亀山耕一郎、ボーカルはSALIA。この両名は後年スーパー戦隊シリーズの楽曲にも関わっている。ほぼ全体にわたってホーンセクションが鳴りまくるにぎやかなアレンジ。作品自体の方向性もあってか、お色気はかなり抑えめ。3番の部分はばっさりカットされているので演奏時間は2分を切る短さ。ハニー役は永野愛。

 2004年には庵野秀明監督による実写版「キューティーハニー」が劇場公開され、その後を受ける形でOVAの「Re:キューティーハニー」が製作されている。OPには劇場版と同じ曲が使用されており、編曲はh-wonder、ボーカルは倖田來未。よく言えば「今風」、悪く言えば昔気質のアニメソングファンには不評の「タイアップ風」とも解釈できるアレンジ。曲にお色気の要素はほとんどなく(締めの「かわるわよ!」もない)、ボーカリストはビジュアルイメージで選ばれたのではないかと勘繰ってしまうのだが、そこのところどうなのだろう? アレンジャーが同じせいか、曲の終り方は「FINAL FANTASY X-2」の「real Emotion」にそっくり。ハニー役は堀江由衣。DVD-BOXには以上4人のハニー役が一堂に会するドラマCDが収録されて話題になった。

 「歌は世に連れ」なんて言葉があるが、やはり年代を追ってまとめて聞いてみると、作風の違いが曲にも反映されているように思える(倖田版はその点いささか微妙だが)。この曲は知名度の高さゆえに数える気が起きないほど多くの歌手がカバーしているが、小谷・前川コンビのもの以上に永井豪の原作のエッセンスが凝縮されたバージョンは、今後も現れてこないのではあるまいか。

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ヤマタケさんの訃報

 現在では「『ルパン三世』の音楽」と聞いたら、8割から9割の人は1977年から音楽を担当している(一時期降板していたが)大野雄二氏のあの曲を連想するであろう。しかし、最初にTVアニメ化されたとき(1971年)に音楽を担当したのは山下毅雄氏であった。いかんせん大野氏の曲のイメージが強すぎるせいか、71年版ルパンのEDをカバーしておきながら作曲者の名前が大野氏になっている不届きなアルバムを買ったこともある。

 ことルパンに関しては不遇である山下氏が21日に亡くなった。詳しいプロフィールや音楽を担当した作品などは、腹巻猫さんのこちらが詳しい。「七人の刑事」や「タイムショック」の音楽もこの人の作曲だったとは不勉強にも知らなかった。リンク先にもあるが、7000以上の曲を世に送り出したという業績は「凄い」の一語に尽きる。作った人がこの世を去っても、曲は永遠に残る。次にカラオケに行く機会があれば「冒険者たちのバラード」でも歌って故人を偲ぼうかと思う。謹んで哀悼の意を表す次第。

 おれが山下氏の訃報を知ったのはブログの更新チェックをかけたときにひっかかったnikkansports.comでだったのだが、24日23時45分時点の第一報では見出しの表記が「山下雄」になっていた(クレームが付いたのか翌日の8時59分には修正された記事がアップされている)。ただでさえ人名の表記は間違えてはいけないのだが、あまつさえ訃報の記事で間違えるとはけしからぬ所業である。書いた記者は猛省するように。

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「Destination」を聴く

 FictionJunction YUUKAのファーストアルバム「Destination」を聴いた。1曲目の『I'm here』、タイトルナンバーの『destination』、その筋(って、どんな筋だ?)には「ヤンマーニ」コーラスでおなじみで中毒性の高い『nowhere』(やっぱりあのコーラスは「ヤンマーニ」以外に聞こえません)と、どちらかというとクールな印象の曲が序盤に固まった構成になっているのがちょっと意外ではあった。そのあとには、アニメはともかく曲そのものは掛け値なしで名曲の『暁の車』をはさんで、以降は柔らかな印象の曲が続いていく。

 全体の構成としてはちょうど真ん中に入っている『聖夜』は、リリース時期を考慮して入れたクリスマス物かと思っていたのだが、作者本人によるライナーを読んでみると、曲自体は以前に作られていたということで、これまた意表を突かれた感がある。おれ自身はクリスチャンではないし、クリスマスに対する思い入れは一般的日本人よりはるかに少ないのだが、この種の曲を聞いているとなんとなく優しい気持ちになるから不思議だ(同様のことは「メリークリスマス」というフレーズにも言える)。

 作品イメージとしては「ヤンマーニ」の印象の強い「MADLAX」で、『瞳の欠片』をOPに採用するのはある種冒険だったのではなかろうか。絵を見ずにこの曲だけを聞いて、作品の舞台が内戦の国であると誰が連想できるだろう? まあ確かにこのユニットのカラーが一番出ている曲ではあると思う。

 このアルバムに限ったことではないが、梶浦由記作の曲でタイトルが英語(「NOIR」ではフランス語だったか)のものでは表記が小文字だけなのには何か理由があるのだろうか? ちょっと気になる。

 あーあとですね、公式サイトの方で「VocalにYUUKAさんをフューチャリングしたこのプロジェクト」という記述がありますが、それを言うなら「フーチャリング」じゃなくて「フーチャリング」ですよ、梶浦さん(『暁の車』発表時のユニット名は「FictionJunction featuring YUUKA」だったし)。更に細かく突っ込んじゃうと、「フィーチャリングした」よりは「フィーチャーした」の方が本来の使い方なのではないかと……。

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あほらしい「スキウタ」

 大晦日の風物詩であるNHKの「紅白歌合戦」ではあるが、おれは小学生の頃からどうにもいけ好かなかった。「今年も残りあと○時間です」などという押し詰まった時間に、いい歳こいた大人が「赤組がんばれ」だの「白組がんばれ」などとやっているのがあほらしく映ったのである。運動会かっつうの。

 視聴率が80%を越えていた時代もあったが、現在では各地でカウントダウンイベントなどが開催されるためなのか、製作陣は視聴率の低下に頭を痛めている。低下したと言っても、いまだに軒並み50%以上の視聴率を取るのだから、日本人の半分は年越しそばをすすりながら「紅白」を見ていることになる。音楽業界でも「紅白出場」の4文字は一種のステータスだ(逆に「紅白出場を蹴るのがステータス」と考える向きもいるようだが)。

 その「紅白」が、視聴者から「紅白歌合戦で聴きたい歌」の調査を行った。「スキウタ」というやつである。「これだけ価値観が多様化しているご時世にそんなことをする意義があるのか?」と思っていたら案の定、10月10日時点で39万7000曲が投票されたという(nikkansports.com)。同月6日に発表された中間発表(集計は9月30日時点)は、その集計方法から考えれば「票が操作されたとしか考えられない」もの(註:リンク先はPDF形式)であった。

 11月21日付のZAKZAKの記事によれば、

 中間発表では上位30曲を発表したが、6割が携帯電話やパソコンからのネット投票。年代別に見ると、20代が19.6%に対し、70代は4.8%と、若年層に人気の歌が上位を多く占めた。

 ネットからの投票が6割を占めるとなれば、高齢者の意向はほとんど反映されないと言っていい。それなのに、なんで白組の上位10曲に橋幸夫の曲が3曲も入っているのか。この結果で製作陣が「視聴者の生の声が聞けた」などと抜かすようであれば、確実に受信料の支払いを拒否する人間が増えるだろう。先の記事にはNHKの担当者のコメントも載っているのだが、

 NHKの担当者は「アンケート結果を参考にしながらも、それだけで(紅白出場者を)決めない。これまでの実績やウチへの貢献度も含め総合的に判断する」と説明するが、アンケート結果をどう具体的に反映するかには言葉を濁す。

 ……じゃああれですか、あの「スキウタ」とかいう企画は単なるポーズですか? 広範囲の年齢層の声を取り入れるのであれば、今回の集計方法には問題がありすぎるし、アンケートを採っておきながら結果を反映しないのであれば、企画そのものがムダだ。「NHKの番組は皆様の受信料で作られています」と言うのであれば、もうちょっと有効に使ってほしいものだ。

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T-SQUAREライブ・1998「野音であそぶ」を見た

 タイトルを見て「今ごろ何を言ってるんだ、こいつは」と思われた方もあるだろうが、このライブはT-SQUAREのデビュー20周年を記念して、歴代メンバーのほとんど(総勢15人)が日比谷野外音楽堂に集結して催された、それはもうとんでもないものであった。もちろんおれも行きたかったわけであるが、あまりの参加メンバーのすさまじさに「こりゃチケットを取るのはムリだろう」と、あっさり断念した経緯がある。

 このライブはスカパーでリアルタイムで中継され、それを当時録画した人が映像を前半後半に分けて、とあるアップローダにアップしてくれた。約2日がかりでようやく前半が落ちてきた(ADSLってもう遅いんだな…)ものをようやく見たのであった。当日のセットリストはこのサイトにアップされているが、とりあえず前半の「STIFF NAILS」から「NIGHT DREAMER」までの11曲をどっと見聞きして思った。

 やっぱりこのバンド好きだ、おれ。……半年前にこのトピックで散々くさしておいて言うのもアレであるが。

 前出のサイトの管理人氏はこの歴史的ライブに立ち会った、いわば証人であるが、野音のライブでは雨にたたられているようである。実際、25周年記念のライブのときも雨だったし、その翌年にはライブ当日に台風が直撃した(このときはライブ自体が中止になった)くらいだから、「野音降水確率の高さは健在」というのもうなずける。が、おれも野音のライブには何度か足を運んだが、雨に降られた試しは一度もない。「もしかして、おれって晴男?」とか思ってしまう。

 このトピックを書いている時点で、後半が全部落ちてくるまでまだ33時間余りある。「IT'S MAGIC」と「JAPANESE SOUL BROTHERS」での怒濤のソロ回しが今から楽しみだ。全体の感想はそれを見た後にでも。

 余談になるが、セットリストのところに名前が挙がっている元メンバー・鷺巣詩郎(サイトでの表記は志郎)は、かの「新世紀エヴァンゲリオン」の音楽を担当した人であり、父上は「快傑ライオン丸」などを製作したピー・プロダクション社長の鷺巣富雄(筆名・うしおそうじ)。キーボード担当の久米大作の父上はナレーションで有名な久米明である。意外な人が血縁にいるものだ。

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24時間テレビのテーマが聴きたい!

 先月の終わり頃、狩人さんのブログに24時間テレビ絡みのコメントをしていたら、書いているうちに猛烈に大野雄二作曲の24時間テレビのテーマが聴きたくなってしまった。この曲のタイトルは「LOVE SAVES THE EARTH」といい、1978年の第1回から1991年放送の第14回までエンディングに使われていた。おれは不届きにも、番組の根本であるはずの「チャリティー」の要素の部分はほとんど見ないくせに、エンディングだけはテレビにかぶりつくように見ていたものである。1992年の第15回以降は弾厚作という二流作曲家が作った「サライ」が最後に合唱されるのが通例となってしまい、非常に寂しい思いをしていた(ちなみにすっかり恒例化したマラソンが始まったのも1992年から)。

 「あーもう、どこかに24時間テレビのテーマが入ったアルバムはないのか! ないのかないのか!」と思っていたら、狩人さんが探してくださった。ありがたやありがたや。そのアルバムは今年の7月に発売された「Yuji Ohno, You&Explosion Band -Made in Y.O.-」で、1970~1980年代の曲のニューアレンジに新曲2曲を含めたものである。

 しかし、入っているのはいいのだが「全曲ニューアレンジ」のワンフレーズが魚の小骨のように引っかかった。Amazonのレビューにあった「オリジナルに勝るものなし」というコメントも、おれに二の足を踏ませた。それでも結局は「オリジナルの曲の編曲を生かしたバージョンアップといったアレンジが多い」のコメントに後押しされる形で「ポチッとな」してしまった。ラインナップに「大追跡のテーマ」が入っていたのも一因ではある。

 そうして物が届いたのが今日のことである。さっそく1枚目から聞いてみる。1曲目の「ルパン三世のテーマ '80 (2005 version)」は確かにオリジナルのアレンジから発展させた感じのもので、好感触であった(今年のTVスペシャルから使われているらしいが、そちらはまだ見ていないのでこのアルバムで初めて聴いた)。ところが2曲目の「戦士の休息(feat. 石井竜也)」で早くも首をひねることになった。んー、なんかボーカルの人選間違ってるような……。この思いが頂点に達してしまったのが2枚目に収録されている「夢の舟乗り(feat. タケカワユキヒデ)」。ライナーには「当時のボーカリスト、タケカワユキヒデが再登板し」なんて余計なことが書いてある。「この曲の本来のボーカリストはヒデ夕樹だ!」と声を大にして言いたくなってしまった(たしかに番組途中からボーカルだけタケカワユキヒデに代わっているのだが)。まあ故人を呼び出して歌わせるわけにもいかないから致し方ないのであろうが、ミスマッチという印象は否めないのが正直な感想だ。

 さて、肝心の「LOVE SAVES THE EARTH」はどうなっているのだろう? 期待半分不安半分で2枚目の最後の曲を聞いてみると――。

  • あれっ、こんなラテン系のノリのイントロだったっけ?
  • イントロからAメロへのつなぎのフレーズってこんなんだったっけ?
  • ここのメロディー担当してたのヴィブラフォンじゃなくてサックスだったんじゃ……っつうか、この曲にヴィブラフォンなんて入ってたっけ?
  • 途中のフルートの入り方がメイナード・ファーガソン演奏の「スタートレックのテーマ」(世間的には「アメリカ横断ウルトラクイズ」のテーマ曲として認知されているだろう)みたいだな……。

 なにやら記憶とズレのあるアレンジになっていた。こうしてブツブツ言いながらも、ストリングセクションとホーンセクションの絡み方はやはり聴いていて心地よいのだった。心地よかったからこそなのかも知れないが、かえってオリジナルを聴きたくなった。イントロからラテンパーカッションを抜いて、ヴィブラフォンのパートをアルトサックスに代えれば、よりオリジナルに忠実だったろうに、などと思ってしまうのである。

 結局このアルバムで一番ヘビーローテーションで聴いているのは「大追跡のテーマ」であったりする。記憶とのズレがほとんどなく、かつ聴いていて気持ちのいい疾走感は問答無用でかっこいい。

 不満も多々あるアルバムではあるが、悪い買い物ではなかったと思う。狩人さん、改めてありがとうございました。

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